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京の算数学問題#809
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算数学コラム
みなさんこんにちは!京都市中京区で塾を運営しております。油谷拓哉(ゆたに たくや)です!
「途中式を書きなさい!」
よく聞くこの言葉は、一見すると当たり前のように感じるかもしれません。実際、途中式をしっかりと書くことは、計算ミスを減らすためにも、プロセスを理解するためにも重要です。しかし、必ずしも途中式を書くことが正しい解決策ではない場合があるのです。特に、お子様によっては途中式が逆効果となり、むしろケアレスミスを増やしてしまうこともあります。
今日は、私が実際に指導した生徒の事例を元に、途中式がなぜケアレスミスにつながるのか、そしてどう改善すれば良いのかについて考えてみたいと思います。
途中式を書きなさいと言われて…結果ミスが増えた?
ある生徒から「計算ミスがなくならない」という相談を受けました。
その生徒は非常に丁寧に途中式を書いており、一見すると大きな問題はないように見えました。
彼は、計算自体は理解しているものの、どうしてもミスをしてしまう。
そこで彼の解答を詳しく分析すると、3つの大きな原因が見えてきました。
①途中式を書かされている感覚
彼は、中学時代から「途中式を書きなさい」と言われ続けてきました。
途中式を書かないと減点されるため、仕方なく書いていたそうです。
しかし、彼自身は途中式を書く意味をあまり理解しておらず、ただ「書かないと点数が下がるから」と言われたから書いている状態でした。
途中式を書く本来の目的は、「計算ミスを減らす」ことと「計算のプロセスを理解する」ことにあります。
意味が分からないまま、指示通りに書いているだけでは、むしろ途中式が増えすぎてミスを誘発する結果となります。
丁寧に書けば書くほど情報量が増え、それが混乱を招いてしまっていたのです。
②眼球運動の問題
次に注目したのは、彼の「眼球運動」です。
眼球運動とは、目が文字や数字を追いかけるときの動きのことを指します。
彼の場合、この動きがスムーズでなかったため、途中式を追いかける中で集中力が途切れがちになっていました。
特に、符号ミスや数字の見間違え(例えば、2と3、6と8など)が多発していたのは、この眼球運動の乱れが原因でした。
途中式が増えれば増えるほど、目が追わなければならない情報が増え、結果として混乱が生じやすくなっていたのです。
③ワーキングメモリの低下
3つ目の原因は、「ワーキングメモリの弱さ」です。
ワーキングメモリとは、瞬間的に情報を保持し、処理する能力のことを指します。
途中式を書くことは、本来なら頭の中の負担を減らし、ミスを防ぐためのものですが、彼の場合、暗算をする機会が減りすぎて、結果的にワーキングメモリが弱くなっていました。
暗算は、ワーキングメモリを鍛える非常に効果的な方法です。
しかし、彼は途中式を書きすぎることで暗算を避け、結果として記憶力や計算力が低下してしまったのです。
さらに、暗記作業や問題の理解力にも影響が出ていました。
改善策:途中式の量を調整し、視覚と記憶を鍛える
これらの問題を解決するため、まず彼に提案したのは「途中式を減らす」ことです。
これまで書いていた途中式の3分の1程度に抑え、ノートに余裕を持たせるため行間を広く取り、視覚的に見やすくしました。
途中式は、書きすぎることでむしろ情報が複雑化し、ミスを誘発してしまうことがわかりました。
また、眼球運動の改善にも取り組みました。
簡単なトレーニングとして、目を動かす練習をしたり、フラッシュ暗算や暗記カードを毎日10分程度行うことを提案しました。
これにより、視覚の追従力が高まり、符号ミスや数字の見間違いが減っていきました。
さらに、ワーキングメモリを鍛えるために暗算の練習も取り入れました。
暗算は短期間でワーキングメモリを強化できる効果的な手段です。
少しずつですが、彼のケアレスミスは減り、計算のスピードと正確さが向上しました。
結果:ケアレスミスが減り、成績も安定
このアプローチを続けることで、彼の計算ミスは少しずつ減少し、点数が安定していきました。
途中式を減らし、必要な部分だけをしっかりと書くことで、計算プロセスが簡潔になり、視覚とワーキングメモリの問題も改善されました。
途中式をきちんと書くことはもちろん大切ですが、書きすぎることで逆にミスが増える場合もあります。
生徒の特性に合わせて、適切な途中式の量を見極めることが重要です。
もし、お子様が「途中式を書いているのにミスが減らない」という場合は、途中式の書き方や量を見直し、視覚や記憶力のトレーニングも取り入れてみることをお勧めします。
以上、京都市中京区のアイデア数理塾、油谷がお届けいたしました!途中式や計算ミスで悩んでいるお子様のサポートができるよう、ぜひ参考にしてみてください。
算数好きあつまれ〜!