勉強を教えるより「質問の仕方」を変えるだけで成績は伸びる 京の算数学#1470

数学コラムの目次

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算数学コラム

「何度教えても、また同じところで間違える」
「分からないと言うので説明しているのに、なかなか身につかない」
「結局、親が答えまで言ってしまう」

家庭学習を見ていると、つい子どもに教えたくなります。

困っているなら助けたい。
できるだけ早く理解してほしい。
間違ったまま進ませたくない。

そう思うのは自然なことです。

ただ、勉強では、答えや解き方を教えることよりも、子どもが自分で考えられる質問をすることの方が、その後の学びにつながる場合があります。

成績を伸ばすために、保護者が先生のように上手に説明する必要はありません。

まずは、子どもへの質問の仕方を少し変えてみることが大切です。

なぜ教えているのに身につかないの?

保護者が丁寧に説明すると、その場では子どもも、

「分かった」
「なるほど」

と答えることがあります。

ところが、翌日になると同じ問題で止まる。
少し数字が変わると解けない。
テストでは手が動かない。

これは、説明を聞いて理解したことと、自分で考えて解けることが別だからです。

教えてもらっているときは、

  • どこを見るか
  • 何を使うか
  • どの順番で進めるか
  • どこに注意するか

を大人が示してくれます。

一方、テストでは、自分でそれを決めなければなりません。

つまり、必要なのは説明を増やすことだけではなく、考え方を自分で取り出す練習です。


質問の仕方で、子どもの考え方は変わる

同じ問題で止まっていても、かける言葉によって子どもの動きは変わります。

たとえば、

「これはかけ算でしょ」
「この公式を使うんだよ」

と伝えると、その問題は進むかもしれません。

しかし、次の問題でも同じように教えてもらうのを待つ可能性があります。

一方で、

「何を求める問題?」
「どこまでは分かった?」
「前にやった問題と似ているところはある?」

と聞くと、子どもは自分の頭の中を整理し始めます。

すぐに答えが出なくても、考える時間そのものが学習になります。


成績が伸びにくい質問

①「分かった?」

説明したあとに、つい聞きたくなる言葉です。

しかし、子どもは本当に理解できていなくても、

「分かった」

と答えることがあります。

これ以上説明を聞きたくない。
分からないと言うのが恥ずかしい。
どこが分からないのか自分でも分からない。

そんな場合もあります。

「分かった?」よりも、

「最初に何をする?」
「この式になる理由を教えて」
「答えを閉じて、もう一度できそう?」

と聞く方が、理解の状態を確かめやすくなります。

②「なんで分からないの?」

保護者としては、つまずきの理由を知りたいだけかもしれません。

ただ、子どもには、

「こんなことも分からないの?」
「ちゃんと考えていないのでは?」

と責められているように聞こえることがあります。

そもそも、分からない理由を本人が説明できるとは限りません。

代わりに、

「どこまでは分かった?」
「最初から分からない?途中から?」
「問題文と計算、どちらで止まった?」

と、答えやすい形に分けて聞くとよいでしょう。

③「これは何算?」

文章題でよく使われる質問です。

最初の学習では役立つこともありますが、毎回「何算?」と聞くと、子どもは計算記号を当てようとすることがあります。

大切なのは、足し算か引き算かを当てることではありません。

  • 何が分かっているか
  • 何を求めるか
  • 数量がどうつながっているか

を考えることです。

「これは何算?」ではなく、

「どんな場面の話?」
「この数字は何を表している?」
「答えは何の数になりそう?」

と聞く方が、式の意味を考えやすくなります。

④「ちゃんと考えた?」

子どもがすぐに答えられないと、考えていないように見えることがあります。

しかし、本人は考えていても、何から手をつければよいか分からないのかもしれません。

「ちゃんと考えて」では、具体的な行動が分かりません。

代わりに、

「まず分かっている数字に線を引こうか」
「図にするとどうなる?」
「似た問題を探してみよう」

と、考える入口を示す方が進みやすくなります。

⑤「前にも教えたよね?」

同じ間違いが続くと、言いたくなる言葉です。

ただ、一度説明を聞いただけで、すぐに定着するとは限りません。

子どもにとっては、

「一度聞いたのにできない自分はだめだ」

という気持ちにつながることがあります。

「前にもやったよね」ではなく、

「前の問題とどこが似ている?」
「前はどうやって始めた?」
「ヒントを一つ思い出せそう?」

と聞くと、記憶を取り出す練習になります。


子どもが考え始める質問

①「何を聞かれている?」

文章題や応用問題で、最初に使いやすい質問です。

子どもが数字だけを見ている場合でも、求めるものに意識を戻せます。

「答えは個数?」
「長さ?」
「時間?」
「人数?」

と、単位まで確認すると整理しやすくなります。

②「どこまでは分かった?」

「全部分からない」と言う子でも、実際には途中まで分かっていることがあります。

  • 問題文は読めた
  • 使う数字は見つけた
  • 式は作れた
  • 計算の途中で止まった

など、できている部分を確認します。

ここが分かると、保護者も全部を説明する労力は必要はありません。
必要なところだけ教えられます。

③「最初に何をすればよさそう?」

問題を最後まで解かせようとすると、ゴールまでが遠すぎてかなり負担になることも多いです。

まずは、最初の一歩だけ考えてもらいます。

  • 問題文に線を引く
  • 図を描く
  • 公式を書く
  • 共通な辺を探す
  • 単位をそろえる

最初の一歩が決まると、その後は自分で進めることもあります。

④「前にやった何と似ている?」

算数・数学は、以前に学んだ考え方を使うことが多い教科です。

たとえば、

  • わり算の筆算と九九
  • 割合と分数
  • 方程式とてんびん
  • 証明と合同条件
  • 一次関数と比例

などです。

似た問題や前の単元とのつながりに気づくと、解き方を思い出しやすくなります。

⑤「この数字は何を表している?」

文章題で数字だけを見ている子に有効な質問です。

たとえば「6」という数字でも、

  • 6個
  • 6人
  • 6箱
  • 6倍
  • 6分

では意味が違います。

数字に言葉や単位をつけて考えることで、数量の関係が見えやすくなります。

⑥「答えを見ずに、もう一度できる?」

解説を読んで「分かった」と言ったあとに使える質問です。

自分で再現できれば、理解が使える状態に近づいています。

できなかったとしても、責める必要はありません。

「どこまでは思い出せた?」
「次の一歩だけヒントを出そうか」

と支えればよいでしょう。

⑦「どこで考え方が変わった?」

間違えたときに、すぐ正しい解き方を教えるのではなく、途中を振り返る質問です。

  • 問題文の読み違い
  • 式の作り方
  • 符号
  • 単位
  • 計算
  • 写し間違い

など、ミスの原因を見つけやすくなります。

「間違えた」だけで終わらず、次に気をつけることまで見えるようになります。

⑧「次に同じ問題が出たら、何に気をつける?」

解き直しの最後に使える質問です。

子ども自身が、

「単位を見る」
「途中式を書く」
「問題を最後まで読む」
「符号を確認する」

と決めることで、次の問題に活かしやすくなります。

保護者が注意点を一方的に伝えるよりも、本人の言葉にすることが大切です。


質問しても答えないときはどうする?

質問を変えたからといって、すぐに答えが返ってくるとは限りません。

子どもが黙っていると、つい質問を重ねたくなります。

「何を求めるの?」
「どの公式?」
「分からないの?」
「ちゃんと読んだ?」

と続けて聞くと、子どもはさらに考えにくくなることがあります。

質問したあとは、少し待つことも大切です。

考える時間が必要な子もいます。

それでも難しそうなら、選択肢を渡します。

「図にするのと、前の問題を見るのと、どちらがよさそう?」
「計算で止まった?問題文で止まった?」

完全に自由な質問より、答えやすくなることがあります。


質問は多ければよいわけではない

考えを引き出そうとして、質問を続けすぎると、子どもが尋問されているように感じることがあります。

一つ質問したら、子どもの反応を待ちます。

答えが出たら、

「なるほど、そこまでは分かっているんだね」

と受け止めます。

すぐに次の質問へ進むのではなく、できている部分を確認することも大切です。

質問の目的は、正しい答えを言わせることではありません。

子どもの頭の中を整理することです。


学年別に使いやすい質問

小学校低学年

低学年には、具体的で短い質問が向いています。

「いくつある?」
「何を聞かれている?」
「絵にしてみる?」
「一つ分はいくつ?」
「どちらが大きい?」

言葉だけで難しい場合は、おはじきや絵を使っても構いません。

小学3・4年生

小3・小4は、計算だけでなく意味を考える内容が増えます。

「この数字は何の数?」
「全部を求める?一つ分を求める?」
「単位は何になりそう?」
「九九のどこが使えそう?」
「前の問題と違うところはどこ?」

文章題やわり算、小数、分数で使いやすい質問です。

小学5・6年生

高学年では、割合や速さ、比など、数量の関係を考える問題が増えます。

「何をもとにしている?」
「どちらを1と考える?」
「図や表にするとどうなる?」
「公式を言葉で説明できる?」
「別の解き方はありそう?」

公式を当てるのではなく、意味を整理する質問が大切です。

中学生

中学生には、自分の解き方を振り返る質問が役立ちます。

「最初に何を使おうと思った?」
「その式を作った理由は?」
「どこで符号が変わった?」
「合同条件はあと何が必要?」
「このグラフから何が分かる?」
「テストなら、どこで見直す?」

答えだけでなく、考えた道筋を言葉にする練習になります。


親が教えられなくても大丈夫

学年が上がると、保護者が内容を説明するのが難しくなることもあります。

特に中学数学では、

「解き方を忘れてしまった」
「今の教え方と自分が習った方法が違う」
「証明や関数はうまく説明できない」

ということもあるでしょう。

それでも問題ありません。

保護者が答えを知らなくても、

「何を求める問題?」
「教科書のどこに似た例がある?」
「どこまでは自分で進められた?」
「先生に聞くなら、何を質問する?」

と聞くことはできます。

答えを教える人ではなく、考えを整理する人として関わる方法があります。

質問の仕方を変えると、質問できる子にもなる

保護者から、

「どこが分からない?」
「どこまではできた?」
「何を聞けば進めそう?」

と日頃から聞かれている子は、自分が困った場所を整理しやすくなります。

すると、学校や塾でも、

「分かりません」

だけではなく、

「式までは作れたけれど、分数の計算がわかりません」
「合同条件は二つ見つけたけれど、あと一つが分かりません」

と質問できるようになります。

質問の仕方を教えることは、勉強のやり方を教えることでもあります。


成績につながるのは「自分で復習できる力」

成績が安定している子は、すべての問題を一度で解けるわけではありません。

分からないときに、

  • 問題を読み直す
  • 図を描く
  • 例題を見る
  • 途中式を確認する
  • 間違いの原因を探す
  • 必要なところを質問する

という行動ができます。

保護者の質問は、この「自分で戻る方法」を身につける助けになります。

毎回答えを教えてもらうより、自分で次の一歩を見つけられる方が、テストでも力を出しやすくなります。


京都・中京区で家庭学習の関わり方に悩んでいる方へ

アイデア数理塾では、子どもが止まったときに、すぐ答えや手順を伝えるのではなく、

  • 何を求める問題か
  • どこまでは分かっているか
  • 何を使えそうか
  • どの段階で止まったか

を確認することを大切にしています。

答えを教えるだけでは、その問題が終わるだけです。

考えるための質問を渡すことで、次に似た問題が出たとき、自分で進める可能性が高まります。

勉強のやり方を伝えたうえで、考える部分を少しずつ本人に任せることが、自分で学ぶ力につながります。


まとめ 答えを教える前に、考えを引き出す質問を

子どもの成績を伸ばすために、保護者がすべての問題を教えられる必要はありません。

大切なのは、

  • 「分かった?」ではなく「最初に何をする?」
  • 「なんで分からないの?」ではなく「どこまでは分かった?」
  • 「これは何算?」ではなく「何を求める問題?」
  • 「前にも教えたよね」ではなく「前の問題と似ているところは?」

と、質問の仕方を変えることです。

よい質問は、子どもに正解を言わせるためのものではありません。

自分がどこで止まり、次に何をすればよいかを考えられるようにするものです。

教える量を増やす前に、まず一つ、質問を変えてみる。
その小さな変化が、自分で考え、自分で学ぶ力につながります。

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