数学コラムの目次
京の算数学問題#1497

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算数学コラム
「図形問題になると手が止まる」
「問題文を読んでも、何をすればいいか分からない」
「図を書けばいいのに、なぜか書かない」
小学生の算数や中学生の数学で、図形問題を苦手にする子は少なくありません。
保護者の方から見ると、
「図を書けば分かりやすいのに」
「なぜ頭の中だけで考えようとするのだろう」
と思うこともあるかもしれません。
実は、図を書かない子が図形問題を苦手にするのには理由があります。
それは、図形のセンスがないからではありません。
頭の中だけで考えようとして、情報を整理できていないことが多いのです。
図は、きれいに描くためのものではありません。
問題の中にある情報を見える形にし、考えるための道具です。
図形問題が苦手な子は「見えていない」ことが多い
図形問題が苦手な子は、問題を読んでいないわけではありません。
ただ、問題文に書かれている情報や、図の中にある関係が頭の中で整理できていないことがあります。
- どの角度が分かっているのか
- どの辺の長さが同じなのか
- どこが平行なのか
- どこを求める問題なのか
- 補助線を引くと何が見えるのか
- 大きな図形をどう分ければよいのか
こうした情報が見えていないまま、いきなり答えを出そうとしてしまいます。
その結果、
「何をすればいいか分からない」
「公式を使うのかな」
「なんとなく角度を足すのかな」
という状態になりやすくなります。
図形問題は、答えを出す前に、まず情報を整理する必要があります。
その空間的なイメージの根幹にあるのが視空間認知という能力になります。
図を書かない子は、頭の中だけで処理しようとしている
図を書かない子は、怠けているわけではありません。
むしろ、頭の中で何とかしようとしていることがあります。
でも、図形問題は情報が多くなりやすい単元です。
辺の長さ、角度、平行、垂直、面積、合同、相似。
いくつもの条件を同時に見なければならないことがあります。
これをすべて頭の中だけで処理しようとすると、途中で混乱しやすくなります。
図を書くことは、頭の中の負担を減らすことです。
「考える力がないから図を書く」のではありません。
考えるために図を書くのです。
図を書かない理由① 書き方が分からない
図を書かない子の中には、そもそも何を書けばよいか分からない子がいます。
「図を書きなさい」と言われても、
- 問題の図をそのまま写せばよいのか
- 分かっている数字を書き込めばよいのか
- 自分で新しく図を描くのか
- 補助線を引くのか
- どこまで丁寧に描けばよいのか
が分かっていません。
実際指導をしていても長方形の面積の問題で私からの「まず長方形を書いてみようか?」という問いかけに対して「え?」っと固まってしまうことがあります。
これはそもそも長方形と言う言葉の意味がわからなかったことが原因でした。
基礎問題は図を書かずに計算だけで何とかなるのでわかりづらいですが、実際は理解ができていません。
この場合、必要なのは「ちゃんと図を書きなさい」という注意ではありません。
「長方形はこういうもので」
「分かっている角度を書き込もう」
「同じ長さの辺に印をつけよう」
「求めるところを丸で囲もう」
「まず三角形を一つだけ取り出してみよう」
というように、図の使い方を具体的に教えることが大切です。
図を書かない理由② きれいに描かないといけないと思っている
図を書くことに苦手意識がある子は、
「きれいに描けないから書きたくない」と思っていることがあります。
特に図形が苦手な子ほど、線が曲がる、角度がうまく描けない、形がずれることを気にします。
でも、算数・数学の図は、作品ではありません。
大切なのは、きれいな図を描くことではなく、考えるために使える図にすることです。
少しゆがんでいても、角度や長さの情報が書き込めていれば十分です。
「きれいに描かなくていいよ。分かるように描けば大丈夫」と伝えるだけで、図を書くハードルが下がる子もいます。
図を書かない理由③ 公式だけで解こうとしている
図形問題が苦手な子の中には、公式だけで解こうとする子がいます。
現場で見ていても、小学生の基礎問題であればなんとかなってしまうんですよね。
面積なら、
三角形は「底辺×高さ÷2」
平行四辺形は「底辺×高さ」
円は「半径×半径×3.14」
このように公式を覚えていること自体は大切ですし、実際図がイメージできなくても解けてしまいます。
ただし、文章はなく図形のみが書かれている問題では、公式を知っているだけでは解けないことがあります。
どこが底辺なのか。
高さはどこなのか。
半径はどれなのか。
どの図形に分ければよいのか。
どこを引けば求められるのか。
これらは、図を見ながら考える必要があります。
公式は道具です。
でも、どの道具をどこで使うかを考えるには、図を整理する力が必要です。
図を書かない理由④ 問題文と図がつながっていない
図形問題では、問題文に大切な条件が書かれていることがあります。
「ABとCDは平行」
「三角形ABCは二等辺三角形」
「角Aは40度」
「点Dは辺BC上にある」
「円の中心をOとする」
こうした情報を読んでも、図に書き込まない子がいます。
すると、問題文では分かっているはずのことが、考えるときに使えません。
図形問題では、問題文を読んだら、分かっていることを図に書き込むことが大切です。
文章の情報を図に移す。
図の情報を式や考え方に変える。
この行き来ができるようになると、図形問題は少しずつ考えやすくなります。
図を書かない理由⑤ どこを見ればよいか分からない
図を書いても、どこを見ればよいか分からない子もいます。
図形問題では、ただ図を書くだけでは足りません。
大切なのは、図の中で注目する場所を決めることです。
- 求める角度のまわりを見る
- 同じ長さの辺を探す
- 平行な線を見つける
- 三角形を一つ取り出す
- 大きな図形を小さく分ける
- 分かっている数字を図に書き込む
というように、見る場所をしぼる必要があります。
図は書けているのに解けない子は、図を書くことと、図を読むことがつながっていない可能性があります。
図形問題で大切なのは「見える化」
図形問題で図を書く目的は、情報を見える化することです。
頭の中だけでは見えにくい関係も、図にすると分かりやすくなります。
- 同じ角度に印をつける
- 同じ長さの辺に印をつける
- 平行な線に矢印をつける
- 分かっている数値を書き込む
- 求める部分を丸で囲む
- 図形を分ける線を引く
こうした小さな書き込みが、考える手がかりになります。
図形問題が得意な子は、頭の中ですべてを処理しているのではありません。
必要な情報を図の中に残しながら考えていることが多いです。
図を書かない子に多い傾向
塾で見ていると、図形問題が苦手な子には次のような様子がよく見られます。
- 問題文を読んでも図に書き込まない
- 分かっている角度や長さをそのままにしている
- 求める場所に印をつけない
- 公式を先に探そうとする
- 図を見ずに数字だけで計算する
- 補助線を引くことを嫌がる
- 図をきれいに描こうとして時間がかかる
- 答えが間違っても、どこで考え方がずれたか分からない
これらは、図形の才能がないということではありません。
図形問題を解くための見方を、まだ身につけていないだけかもしれません。
図形問題が苦手な子に必要な5つのコツ
①分かっている情報を書き込む
まず大切なのは、問題文や図にある情報を書き込むことです。
角度、長さ、平行、垂直、同じ辺、同じ角度。
分かっていることは、できるだけ図に残します。
特にマークは毎回違うと混乱してしまうので角度のマーク○△×を使うなど統一しましょう。
図に書き込むことで、使える情報が見えやすくなります。
②求めるところをはっきりさせる
図形問題では、何を求めるのかを見失う子がいます。
面積なのか、角度なのか、辺の長さなのか。
どの部分を求めるのか。
まず、求めるところに丸をつけます。
「ここを出すためには何が分かればよいか」と考えることで、解き方の方向が見えやすくなります。
③図形を分けて見る
複雑な図形は、そのまま見ると難しく感じます。
でも、小さな図形に分けると考えやすくなることがあります。
- 大きな四角形を三角形に分ける
- 複雑な形を長方形に分ける
- 余分な部分を引いて考える
- 三角形を一つ取り出して考える
図形問題では、全体を見る力と、部分を見る力の両方が必要です。
④補助線を引く
補助線は、見えていない関係を見えるようにするための線です。
小学生にとって補助線は難しく感じることがあります。
でも、最初は難しい線を引く必要はありません。
また引き慣れていない場合、補助線を引きなさいという指示を聞いた子どもは線を引きまくり逆にわからなくなるケースもあります。
- 高さを引く
- 対角線を引く
- 中心から線を引く
- 図形を分ける線を引く
こうした基本的な補助線1本だけで十分です。
補助線は、答えを出すための魔法の線ではありません。
見えにくい関係を整理するための線です。
⑤答えの前に「なぜそう考えるか」を言う
図形問題では、答えだけでなく考え方が大切です。
「なぜこの角度が分かるのか」
「なぜこの辺とこの辺が同じなのか」
「なぜここを引くのか」
「なぜこの公式を使うのか」
を言葉にできると、理解が深まります。
特に中学生の図形や証明では、この力が必要になります。
小学生のうちから、図を見ながら考え方を言葉にする練習をしておくと、中学数学にもつながります。
小学生の図形でつまずきやすいポイント
角度
角度では、分かっている角度を書き込むことが大切です。
- 三角形の内角の和
- 直線は180度
- 向かい合う角
- 平行線の角度
などの性質を、図の中で使えるかがポイントになります。
公式のように覚えるだけでなく、図のどこに使えるかを見る必要があります。
面積
面積では、公式を覚えていても、どこが底辺でどこが高さか分からない子がいます。
特に三角形や平行四辺形では、高さを見つけることが大切です。
複雑な図形では、分ける、足す、引くという考え方も必要になります。
図を書かない子は、どの図形として見ればよいかが分からず止まりやすくなります。
円
円では、中心、半径、直径を図に書き込むことが大切です。
半径がどこなのか。
直径は半径の2倍なのか。
円の一部をどう見るのか。
図の中に情報を残すことで、公式を使う場所が見えてきます。
立体
立体では、頭の中だけで形を想像するのが難しい子もいます。
展開図、見取り図、上から見た図など、いろいろな見方が必要です。
立体が苦手な子ほど、図を描いたり、実物や紙で確認したりすることが役立ちます。
中学生の図形にもつながる
小学生のうちに図を書く習慣がないと、中学生になってからさらに苦労することがあります。
中学数学では、
- 平行線と角
- 三角形の合同
- 証明
- 相似
- 円周角
- 三平方の定理
など、図を見ながら考える単元が増えます。
特に証明では、図に書かれた条件を読み取り、どの三角形に注目するかを考える必要があります。
図を書かない、情報を書き込まない、注目する場所を決められない状態だと、証明で手が止まりやすくなります。
図を書く力は、小学生の算数だけでなく、中学数学の土台にもなります。
塾の先生として見ていること
塾で図形問題を見るとき、私は答えだけを見ません。
- 図を書いているか
- 問題文の条件を書き込んでいるか
- 求める場所に印をつけているか
- どの図形に注目しているか
- 補助線を考えようとしているか
- 公式をどこに使うか分かっているか
- 間違えた図を見直せるか
を見ます。
図形問題が苦手な子は、図形の才能がないのではありません。
考えるための見方や手順を、まだ知らないだけかもしれません。
図を書き、情報を整理し、注目する場所を決める。
この流れができるようになると、図形問題への苦手意識は少しずつ変わっていきます。
アイデア数理塾が大切にしていること
アイデア数理塾では、図形問題をただ公式に当てはめるだけで終わらせません。
大切にしているのは、
- 図に情報を書き込むこと
- 求める場所をはっきりさせること
- 図形を分けて見ること
- 補助線の意味を考えること
- なぜその公式を使うのかを説明すること
京都市中京区・烏丸御池周辺で、小学生の算数や中学生の数学、特に図形問題に不安がある方は、「図形が苦手」と決めつける前に、図を書いて考える習慣があるかを確認してみることが大切です。
図を書くことは、答えを出す前の大切な準備です。
考え方を見えるようにすることで、図形問題は少しずつ取り組みやすくなります。
まとめ 図を書かない子は、考える材料を見える形にできていない
図を書かない子が図形問題を苦手にする本当の理由は、図形のセンスがないからではありません。
多くの場合、
- 何を書けばよいか分からない
- きれいに描かないといけないと思っている
- 公式だけで解こうとしている
- 問題文と図がつながっていない
- どこに注目すればよいか分からない
という状態です。
図は、きれいに描くためのものではありません。
分かっている情報を整理し、考えるために使うものです。
図を書けるようになると、
- 角度や長さが見える
- 使える情報が分かる
- 公式を使う場所が分かる
- 補助線の意味が見える
- 間違えた理由を振り返れる
ようになります。
図形問題が苦手な子には、まず「図を書きなさい」ではなく、
「図に何を書き込む?」
「どこを見ればよさそう?」
と問いかけることが大切です。
図を書く力は、算数・数学の考える力につながります。
京の算数学 解答#1497





