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京の算数学問題#1096

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算数学コラム
こんにちは!京都市中京区で学習塾「アイデア数理塾」を運営しています、油谷拓哉(ゆたに たくや)です。
私たちは幼いころから数字に親しみながら生活しています。
「1、2、3…」と数をかぞえるところから始まり、学校の授業ではどんどん難しく、そして面白くなっていきます。
今日は、小学生から高校生までに学ぶ「数の広がり」について、順を追ってわかりやすくお話ししていきます。
小学生:数に「慣れ親しむ」時期
小学校ではまず、「物の数え方」や「順番」の表現としての数を学びます。
- 1個、2個(量を表す)
- 1番目、2番目(順序を表す)
ここで学ぶのは、数が生活に役立つツールであるという感覚です。
そして、足し算・引き算・かけ算・わり算といった四則演算を身につけ、小数や分数といった「割り切れない数」も登場してきます。
この時期の学びのテーマは、「身近なことを数字で表す力」を育てることです。
中学生:数の「枠をこえる」体験が始まる
中学に入ると、「数直線」や「負の数(マイナスの数)」が登場します。
0を基準に、右には正の数、左には負の数が並ぶ世界。
たとえば、
- 気温が−3℃
- 銀行口座の残高が−5,000円
このように、マイナスの概念が現実の問題に使えることを知り、数の世界が広がり始めます。
さらに中学後半では、「無理数」が登場。
無理数とは、分数では表せない数のことで、有名なのが√2(ルート2)や円周率πです。
- √2 ≒ 1.4142135…(ずっと続く小数)
- π ≒ 3.141592…(止まらない円の比)
目に見えないけれど、確かに存在する。そんな数があると知ることで、数の世界に“無限”の感覚が加わります。
高校生:実数を超えた「虚数」の世界へ
高校に入ると、いよいよ数の世界が“見えないもの”へと広がっていきます。
中学までは「実数(real number)」と呼ばれる範囲を扱ってきました。
実数とは、数直線上に存在するすべての数。自然数、整数、小数、分数、無理数もすべて実数です。
でも高校では、それを飛び出す「虚数(imaginary number)」が登場します。
虚数とは、マイナスの数の平方根を扱うための新しい考え方です。
たとえば √−1 は普通は存在しません。でも、数学ではこれを
i(アイ)と定義することで計算が可能に!
- i² = −1
- 2i、5 + 3i のような数が登場
これらを「複素数(complex number)」と呼びます。
ここで大切なのは、見えないものも数として扱うという発想。数学の世界は、現実の感覚を超えていきます。
虚数や複素数って、何に使うの?
「こんな見えない数、何の役に立つの?」と思うかもしれません。
でも実は、複素数は私たちの暮らしの中で大活躍しています。
- 電気回路の波の計算
- スマホやパソコンの信号処理
- 3Dグラフィックスの描画
- 音声の加工・分析
- 工学・量子物理・AIのアルゴリズムにも
つまり、「現実をより深く理解し、未来をつくるための数学」なのです。
抽象的なように見えて、実はとても実用的なのが高校数学のすごいところです。
数の概念が広がるということは?
数学の面白さは、単なる計算力ではなく、「ものの見方」が変わることにあります。
- 自然数(1、2、3…)だけだった世界が、
- 負の数、分数、小数、無理数、虚数…と
- どんどん広く、深く、抽象的になっていく。
この広がりを追いかけることで、「現実をどう理解するか」や「思考の柔軟さ」が育っていくのです。
数学とは、数を通して世界を理解する学問。
目に見えない数も、ちゃんと意味があり、世界を説明する力になる。
だからこそ、数字の世界を広げる経験は、子どもたちにとってかけがえのないものになります。
まとめ:数の旅を、楽しもう!
小学校で始まる数の世界は、中学・高校と進むにつれて、目に見えるものから見えないものへと広がっていきます。
数字は単なる道具ではなく、世界を理解し、未来を創る鍵です。
そして、数の広がりを楽しむことこそが、数学を学ぶ最大の魅力ではないでしょうか。
数字がどんどん自由になっていく感覚、
その楽しさを、ぜひ子どもたちと一緒に味わってみてください!
以上、京都市中京区のアイデア数理塾
油谷拓哉(ゆたに たくや)がお届けしました!
算数・数学のご相談はぜひおまかせください!
京の算数学 解答#1096
