数学コラムの目次
- 1 「理解」には受け身の理解と自力の理解があります
京の算数学問題#1521

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算数学コラム
解説を読めば分かる。
先生の説明を聞けば納得できる。
答えを見たら「ああ、そういうことか」と言う。
それなのに、答えを閉じて自分で解こうとすると手が止まる。
このようなお子さまは、決して少なくありません。
ここで大切なのは、解説を読んで理解できることと、自力で解けることは別ということです。
解説を読んで分かる子は、まったく理解できていないわけではありません。
むしろ、説明を受け取る力はあります。
ただし、自力で解くには、もう一段階必要です。
それは、
- 問題を見て、何を使うか思い出す力
- 最初の一歩を自分で出す力
- 解き方の流れを再現する力
- 途中で迷ったときに戻る力
- 答えを見ずに解き切る練習
です。
つまり、このタイプの子に足りないのは、
受け身で分かる力ではなく、自分で取り出して使う力です。
この記事では、解説を読めば理解できるのに自力では解けない子に何が起きているのかを、算数・数学の現場目線で整理します。
この記事は、次のようなお子さまの保護者の方に向けて書いています。
- 解説を読むと分かるのに、同じ問題を自力で解けない
- 授業中は理解しているように見えるが、テストでは点が取れない
- 算数や数学で「見れば分かる」と言うことが多い
- 宿題では答えや解説を見ながら進めている
- 間違い直しが、赤で答えを書く作業になっている
- 中学生で学校ワークをやっているのに定期テストで伸びない
- 京都市中京区・烏丸御池周辺で、算数・数学の学習塾を探している
「読めば分かる」は大切な段階です。
ただ、そこで止まってしまうと、テスト本番で自分の力として使いにくくなります。
「理解」には受け身の理解と自力の理解があります
子どもが「分かった」と言うとき、その中身はいくつかに分かれます。
| 状態 | 子どもの様子 | まだ起こりやすいこと |
|---|---|---|
| 解説を読めば分かる | 読むと納得できる | 答えを閉じると止まる |
| 説明を聞けば分かる | 先生や親の説明で理解する | 一人では始められない |
| まねすれば解ける | 例題と同じ形ならできる | 形が変わると迷う |
| 自力で再現できる | 何も見ずに解ける | テストで使いやすい |
| 別の問題にも使える | 数字や聞かれ方が変わっても対応できる | 理解が安定している |
解説を読めば理解できる子は、最初の段階には届いています。
ただ、そこで終わると、「読めば分かるけれど、自分では解けない」状態になります。
テストで必要なのは、解説を読む力ではありません。
解説がない状態で、解き方を思い出して使う力です。
解説を読めば分かるのに自力で解けない子に起きている3つのこと
1.最初の一歩を自分で出せていない
解説には、最初の一歩が書かれています。
たとえば、
「まず、求めたい数をxとおく」
「分母をそろえる」
「全体を100%と考える」
「先に3冊分の代金を求める」
「図に条件を書き込む」
といった入口です。
解説を読めば、この入口が見えます。
でも、自力で解くときには、その入口を自分で見つけなければなりません。
問題:1個120円のノートを3冊買い、500円を出しました。おつりはいくらですか。
解説を読めば、
120 × 3 = 360
500 − 360 = 140
と分かります。
でも、自力では
500 − 120 = 380
としてしまう子がいます。
この子は、解説を読めば理解できます。
ただ、自分で解くときに、先に3冊分の代金を出すという最初の一歩が出ていません。
2.解き方の流れを覚えていない
解説を読んだときは、流れが見えます。
「なるほど」
「そういう順番か」
「これなら分かる」
と感じます。
でも、答えを閉じると、次に何をするか思い出せない。
これは、理解していないというより、
解き方の流れを自分で再現する練習が足りない状態です。
方程式で、
2x + 3 = 11
を解くとします。
解説を見れば、
2x + 3 = 11
2x = 11 − 3
2x = 8
x = 4
と分かる。
でも、自力では、
2x = 11 + 3
としてしまう。
この場合、解説を読んだときは納得しています。
ただ、自分で式を変形するときに、符号や手順が再現できていません。
3.「分かった気持ち」で終わっている
解説を読むと、子どもは安心します。
分からなかった問題に答えが見える。
考え方が説明されている。
自分でも理解できた気がする。
この安心感は大切です。
ただし、そこで終わると、テスト本番では使えません。
解説を読んで分かったあとに必要なのは、答えを閉じて、もう一度自分で解くことです。
これをしないまま次の問題へ進むと、勉強したつもりでも力になりにくいです。
「解説を読めば分かる子」と「自力で解ける子」の違い
同じように解説を読んでいても、その後の行動で差がつきます。
| 見るポイント | 自力で解けるようになる子 | 自力では解けないままの子 |
|---|---|---|
| 解説を読んだ後 | 答えを閉じて解き直す | 赤で答えを書いて終わる |
| 分からなかった問題 | 印をつけて戻る | その場で流す |
| 最初の一歩 | 自分で言えるようにする | 解説の流れを眺める |
| 間違い直し | もう一度自力で解く | 正しい答えを写す |
| 数日後 | 再度確認する | 一度読んだだけで終わる |
| テスト前 | 解けなかった問題に戻る | ワークを終わらせるだけ |
差がつくのは、解説を読むかどうかではありません。
解説を読んだあとに、自分で再現したかどうかです。
解説を読めば分かるのに自力で解けない場面
例1 分数の計算
問題:1/2 + 1/3
解説を読むと、
1/2 = 3/6
1/3 = 2/6
3/6 + 2/6 = 5/6
と分かる。
でも、自力では
1/2 + 1/3 = 2/5としてしまう。
この場合、解説を読めば通分の流れは理解できます。
しかし、自分で問題を見たときに、「分母をそろえる」という考え方を取り出せていません。
例2 割合の問題
問題:20%引きで400円になりました。もとの値段はいくらですか。
解説を読むと、
20%引き後は80%
80%が400円
400 ÷ 0.8 = 500と分かる。
でも、自力では
400 × 0.2 = 80としてしまう。
この場合、割合そのものを知らないわけではありません。
ただ、
「20%引き後は80%」
「400円は80%にあたる」
という関係を自分で作れていません。
例3 中学生の方程式の文章題
問題:1個120円の商品と1個80円の商品を合わせて10個買い、代金は1040円でした。それぞれ何個買いましたか。
解説を読むと、
120円の商品をx個とする
80円の商品は10−x個
120x + 80(10−x) = 1040
と分かる。
でも、自力では何をxにするか決められない。
この場合、方程式の計算ができないのではなく、問題文から式を作る入口で止まっています。
家庭で試せる見分ける質問
質問1 「解説を閉じて、もう一回できる?」
一番大切な質問です。
解説を見ながら分かることと、閉じて解けることは別です。
ここで止まる場合は、まだ答えを導くまでの過程の理解ができていません。
質問2 「最初に何をする問題だった?」
解き方の入口を確認します。
「通分する」
「xを決める」
「先に合計を出す」
「全体を100%と見る」
のように言えれば、最初の一歩が見えています。
質問3「解説のどこを見て分かった?」
解説をただ眺めているのか、ポイントをつかんでいるのかを見ます。
「ここで80%にしているところ」
「ここで3冊分を先に出しているところ」
「ここで10−xにしているところ」
と言えれば、理解が深まりやすいです。
質問4「数字を変えてもできる?」
同じ問題の数字を少し変えると、本当に考え方を使えているかが分かります。
答えを覚えているだけの場合、数字が変わると止まります。
質問5「明日もう一回出たら解けそう?」
その場でできても、時間がたつと忘れることがあります。
翌日や数日後にもう一度解けるかを見ることで、定着しているか分かります。
原因別の対策
解説を読んで終わっている場合
- 解説を読んだら、答えを閉じる
- 同じ問題をもう一度解く
- 解けなかったら、もう一度解説を見る
- 再度閉じて解く
- できた問題に印をつける
ポイントは、解説を読むことをゴールにしないことです。
解説は、もう一度自分で解くための準備です。
最初の一歩がわからない場合
- 「まず何をするか」を言葉にする
- 最初の一行だけ書く練習をする
- 問題を見て、使う単元を考える
- 図や表にする
- 似た問題との共通点を見る
自力で解けない子には、いきなり最後まで解かせるより、最初の一歩を出す練習が効果的です。
流れを再現できない場合
- 解説を見ながら声に出して流れを確認する
- 次に、解説を隠して途中式を書く
- 1行ずつ何をしているか説明する
- 数日後に再度解く
- 間違えた行に印をつける
算数・数学では、流れを自分で再現できることが大切です。
「読めば分かる」から「自分で書ける」へ変える必要があります。
答えを写して終わっている場合
- 赤で答えだけを書かない
- どこで止まったか印をつける
- 解説の中で大事な一行だけ写す
- その後、自分で解き直す
- 質問する問題として残す
答えを書くことは、間違い直しの一部でしかありません。
自分で解けるようになっているかを確認することが必要です。
問題の形が変わると使えない場合
- 数字を変えた問題を解く
- 聞かれ方を変えた問題を解く
- 似た問題を並べて違いを見る
- 「どこが同じで、どこが違うか」を確認する
- 解いた後に、使った考え方を言葉にする
問題の形が変わると止まる子は、解き方を覚えているだけのことがあります。
考え方そのものを確認することが大切です。
解説を読むときに意識したい3つのこと
1.答えではなく「最初の一手」を見る
解説で一番大切なのは、答えそのものではありません。
「最初に何をしているか」です。
- なぜ通分しているのか
- なぜxをそこに置いたのか
- なぜ先に合計を出したのか
- なぜ100%ではなく80%で見ているのか
ここを見ると、自力で解くときの入口が見えやすくなります。
2.途中の変化を見る
数学では、途中式の1行ごとに意味があります。
ただ眺めるのではなく、
「この行からこの行で何が変わったのか」を見ることが大切です。
特に中学生では、符号、移項、かっこ外し、約分、代入などでミスが出やすいです。
3.最後に必ず自分で解く
解説を読んだあとは、必ず自分で再現します。
そのとき、最初は完璧でなくて構いません。
途中で止まったら、そこが今の課題です。
止まった場所が分かれば、次に何を練習すればよいか見えてきます。
解説を読めることは、大切な力です
解説を読めば分かることは、決して悪いことではありません。
むしろ、解説を読んで理解できる力は大切です。
解説を読んでも分からない場合は、さらに前の単元や用語、計算の土台に戻る必要があります。
そのため、「解説を読めば分かる」という状態は、学習の途中段階として前向きに見てよいです。
ただし、そこで止まると、テスト本番では困ります。
解説を読む力を、自分で解く力に変える練習が必要です。
また、すべての問題を何度も解き直す必要はありません。
重要なのは、
- 間違えた問題
- 自力で始められなかった問題
- テストに出そうな問題
- 同じミスをくり返している問題
を優先して、自力再生することです。
塾の先生として見ていること
塾で「解説を読めば分かるのに、自力では解けない」という子を見るとき、私はまず答えだけを見ません。
見るのは、
- 解説のどこで分かったのか
- 最初の一歩を自分で言えるか
- 答えを閉じてもう一度解けるか
- 途中式を再現できるか
- 数字が変わってもできるか
- 同じ考え方を別の問題で使えるか
- 間違えた場所に戻れるか
- 質問する形にできるか
です。
解説を読めば分かる子は、理解の入口には立っています。
そこから大切なのは、解説を読む回数を増やすことではありません。
自分で再現する回数を増やすことです。
アイデア数理塾が大切にしていること
アイデア数理塾では、解説を読んで分かることを否定しません。
ただし、そこで終わらせず、
- 答えを閉じてもう一度解けるか
- 最初の一歩を自分で出せるか
- 途中式や考え方を残せるか
- どこで止まったかを確認できるか
- 数字や聞かれ方が変わっても使えるか
を大切にしています。
京都市中京区・烏丸御池周辺で、小学生の算数や中学生の数学に不安がある方は、
「解説を読めば分かるのに、なぜテストで解けないの?」
と責める前に、解説後の解き直しまでできているかを見てみることが大切です。
算数・数学は、分かったことを自分で再現して、少しずつ力にしていく教科です。
まとめ解説を読める力を、自力で解く力に変えることが大切
解説を読めば理解できるのに、自力では解けない子に足りないものは、理解力そのものとは限りません。
足りないのは、
- 最初の一歩を自分で出す練習
- 解き方の流れを再現する練習
- 答えを閉じて解き直す習慣
- 数字が変わっても使えるかの確認
- 間違えた場所に戻る力
かもしれません。
「解説を読めば分かる」は、悪い状態ではありません。
でも、テストで必要なのは、解説がない状態で自分で解けることです。
そのためには、
読むだけで終わらせないこと。
答えを閉じて、もう一度自分で解くこと。
どこで止まったかを見つけること。
ここを積み重ねることで、受け身の理解は、自力で使える理解に変わっていきます。
京の算数学 解答#1521





