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京の算数学問題#1207

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算数学コラム
小学生の算数の宿題を見ていると、
「筆算の線は物差しで引きなさい」
と先生に言われることがあります。
それを見て、「なんでそこまで丁寧に??」と疑問に思う保護者の方も多いのではないでしょうか。
今日は、「筆算で物差しを使う理由」と「実際どこまで必要なのか」について、教育的な観点から整理していきます。
1. そもそもなぜ物差しで線を引くのか?
筆算で線を引く目的は、「計算の整理」と「けじめをつける」ことにあります。
特に低学年では、計算の途中経過や位の並びを間違えることで、計算ミスが起きやすいものです。
線をまっすぐ引くことで、
- 計算の範囲がはっきりする
- 答えの位置が整う
- 見やすく、清書としてきれいになる
という効果があります。
つまり、物差しで線を引くこと自体が「計算の丁寧さ」を育てるトレーニングの一部なんです。
2. 実際、物差しは必要?
結論から言えば、「最初のうちはあった方がいいが、慣れれば不要」です。
低学年(特に2〜3年生)では、筆算の形を正確に覚えることが大切です。
この段階で線が曲がっていたり、答えの位置がずれていたりすると、後々の学習で「計算のレイアウトがぐちゃぐちゃになる」ことがあります。
しかし、高学年や中学生になると、筆算はあくまで「手段」。
丁寧に書くことよりも、考え方をスムーズに整理できるかどうかが大事になります。
ですので、
- 低学年:物差しで練習する期間
- 中学年以上:フリーハンドでOK(整っていれば)
という段階的な指導が理想的です。
3. 線を引くよりも大切な「思考の整理」
筆算の線は「思考の区切り」です。
つまり、線そのものよりも「ここまでが計算」「ここが答え」という意識が育っているかどうかが大切です。
線を引くことを目的化してしまうと、
「形だけ整っていても、考え方はバラバラ」
という状態になってしまいます。
親としては、「きれいに書けたね!」だけでなく、
「どこまで計算したの?」「どうしてここに線を引いたの?」
と、考え方に意識を向けてあげると良いでしょう。
4. アイデア数理塾の現場では
アイデア数理塾では、低学年のうちは「書き方の丁寧さ」を重視しています。
特に、線を引くことよりも「位をそろえる」「数字の大きさをそろえる」といった“見やすい書き方”を指導します。
「学校の先生が言ったから」では本来の先生が伝えたいことが伝わっていない証拠です。
ここがポイントだよと1人1人の理解度にあわせてフォローをします。
物差しを使うかどうかは、あくまで個々の段階によりますが、手書きでもきれいに引けるなら、それで十分。
一方で、字がまだ安定していないお子さんには、物差しを使うことで「整った形」を覚えてもらいます。
つまり、「物差しを使う=ダメ」「使わない=上級」ではなく、
成長のステップとして“使い分ける”のが大切です。
5. まとめ
筆算の線を物差しで引くのは、あくまで“整理の練習”。
最初は形から入ってOKですが、慣れてきたら思考の整理を重視しましょう。
物差しを使うかどうかよりも大事なのは、
- 位を正しくそろえる
- 筆算の流れを理解している
- 自分の書いた式を見直せる
この3つです。
アイデア数理塾では、単なる“正解主義”ではなく、
「自分で整理し、考え方を形にする力」を育てています。
筆算の線一本にも、思考力の芽が隠れているんです。
京の算数学 解答#1207
