57は素数ではない。グロタンディークの間違いと「グロタンディーク素数」の話 京の算数学#880

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算数学コラム

みなさんこんにちは!京都市中京区で塾を運営しております。油谷拓哉(ゆたに たくや)です!


「57は素数でしょうか?」

数学好きなら一度は耳にしたことがある「素数」。

中学数学で初めて登場しますが、実はこれ、数学の最前線でも研究が続けられているテーマです。

たとえば、現時点で知られている最大の素数は2³²⁵⁵⁸⁹⁹³−1という驚きの大きさ!

では、そんな素数の世界に「57」が登場するのはなぜでしょうか?
今日は、この数字にまつわる逸話と、数学界の巨星アレクサンドル・グロタンディークに焦点を当ててお話しします。

素数とは何か?おさらいから始めよう

素数の定義をもう一度確認してみましょう。

「素数とは、2以上の自然数で、自分自身と1以外に正の約数を持たない数」のことです。

具体的な例を見てみましょう

  • 13の約数は「1, 13」だけ → 素数
  • 34の約数は「1, 2, 17, 34」 → 素数ではない(2と17でも割れるから)

これを踏まえて、57はどうでしょう?
実際に調べてみると、

  • 57の約数は「1, 3, 19, 57」です。

つまり、57は素数ではありません!

では、なぜ「57が素数だ」と言われる話があるのでしょうか?

「グロタンディーク素数」の誕生秘話

この話の元となる人物が、数学界の巨人、アレクサンドル・グロタンディークです。

グロタンディークってどんな人?

グロタンディーク(1928年〜2014年)は、主にフランスで活躍した数学者で、数学の歴史に大きな足跡を残しました。
彼の代表的な業績には、以下のようなものがあります。

  • エタール・コホモロジー理論:フェルマーの最終定理の証明にも貢献した理論。
  • 数学のノーベル賞とも言われるフィールズ賞を1966年に受賞。

数学だけでなく、彼の生涯は非常にユニークで、晩年は数学界から離れ、フランスのピレネー山脈に隠居するなど、異色の道を歩んだ人物です。

グロタンディークと57

話はある数学の講義での一幕に遡ります。

授業中、生徒から「先生、具体例を挙げて説明してください」と求められたグロタンディーク。少し面倒だったのか、こう答えました

「この場合、pは素数ですが、仮にp=57としましょう。」

当然、57は素数ではありません!
しかし、講義の内容に夢中だった生徒たちは「グロタンディークが言うなら57は素数だろう」と納得(?)したのです。

こうして「57が素数」という冗談が広まり、「グロタンディーク素数」というユニークな言葉が誕生しました。

ちなみに、このエピソードは数学者たちの間でちょっとしたジョークとして親しまれています。

数学者もミスをする!「弘法も筆の誤り」

この話が象徴しているのは、どんな天才でもミスはするということ。

私たちの日常でも、ミスを恐れて何も行動しないよりも、挑戦を重ねて成長していくことが重要です。

グロタンディークの「57の素数宣言」は、彼の数学的威厳を傷つけるどころか、その人間味あふれる一面を象徴するエピソードとして語り継がれています。

グロタンディークの晩年とその影響

グロタンディークはその後、数学界から突然姿を消し、ピレネー山脈の隠れ家でひっそりと暮らすようになります。
下界に降りることなく2014年、86歳でこの世を去りましたが、その遺した業績は今なお多くの数学者を支えています。

彼が作り上げた数学の土台がなければ、現代の数多くの発見は生まれなかったと言われるほど、その影響は計り知れません。

まとめ:57とグロタンディークが教えてくれること

57は素数ではありません。
しかし、この「グロタンディーク素数」の話は、数学の深遠さやユーモア、そして人間味を伝えてくれる素晴らしい逸話です。

私たちも日々の生活や学びの中で、「完璧でなくても良い」という心持ちを持つことで、より柔軟に物事に取り組めるのではないでしょうか。

以上、京都市中京区のアイデア数理塾、油谷がお届けしました!
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