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京の算数学問題#1180

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算数学コラム
こんにちは!京都市中京区で算数・理科を中心に子どもたちの学びをサポートしているアイデア数理塾の油谷拓哉です。
キャンプや登山、社会科の授業で「方位磁針(ほういじしん)」を使ったことはありますか?
針が自然と「北」を指すのを見て「どうして勝手に北を指すの?」「誰かが動かしているの?」と不思議に思った子も多いでしょう。
今回は コンパスがなぜ北を指すのか を、小学生でもイメージできるようにやさしく解説します。
1. コンパスの針は小さな磁石
まず、方位磁針(コンパス)の針は 小さな磁石 です。
- 赤い方が N極(北極)
- 反対側が S極(南極)
磁石は「N極とS極は引き合い、同じ極は反発する」というルールで動きます。
この磁石の性質が、コンパスが北を指す理由と大きく関係しています。
2. 地球は巨大な磁石だった!
実は、地球そのものが大きな磁石 になっています。
地球の中心には「コア」と呼ばれる鉄やニッケルがたくさん集まった部分があり、そこがぐるぐる回ることで電流が生まれ、磁場(じば=磁界)ができています。
- 地球の南極付近に「N極」
- 地球の北極付近に「S極」
があるイメージです。
だから地球の表面には「見えない磁力の線(磁力線)」が広がっていて、コンパスの針はその線に沿って向きをそろえるのです。
3. なぜ「北」を指すの?
ではなぜ、赤い針が北を指すのでしょうか?
磁石のルールを思い出すと…
- コンパスの赤い針は N極
- 地球の北極付近は S極 のようにふるまっている
つまり、N極(赤い針)がS極に引き寄せられて北を向く、というわけです。
「地球の北は磁石のS極」というのは少しややこしいですが、針が北を向く理由はこの仕組みにあります。
4. 北といっても「ずれている」?
実は、コンパスが指す「北(磁北)」と、地図に描かれている「北(真北)」は少しずれています。
- 地図の北 → 地球の回転軸を基準にした方向
- コンパスの北 → 地球の磁力線に沿った方向
このズレを「磁気偏角(へんかく)」と呼びます。
日本ではおよそ 西に数度ほどズレる 地域が多いです。
だから登山や冒険では、「コンパスと地図を一緒に使うこと」が大事になるのです。
5. コンパスの使われ方
コンパスは昔から人間の生活に役立ってきました。
- 航海(船乗り) …海の上では目印がなくても進む方向がわかる
- 登山 …山道や森で迷わないように進むべき方向を決められる
- 地図読み …地形図とコンパスを組み合わせて現在地を知る
コンパスがなければ、昔の人たちは安全に世界中を旅することができなかったかもしれません。
6. 家でできる簡単実験
コンパスがなくても、家で「手作りコンパス」を作って確かめることができます。
実験:手作りコンパス
準備するもの
- 縫い針1本
- 磁石
- コップの水
- 発泡スチロールや葉っぱ
やり方
- 針を磁石で数回こする(磁化する)
- 発泡スチロールや葉っぱの上に針を置く
- それを水に浮かべる
すると針が自然と回って 北の方向を指す ようになります。
→ 地球が本当に磁石であることを体感できます!
7. まとめ
コンパスが北を指すのは、
- コンパスの針が小さな磁石だから
- 地球自体が大きな磁石だから
- 赤い針(N極)が、地球の北極付近のS極に引き寄せられるから
という仕組みです。
私たちの生活の中では気づきにくいですが、地球には常に磁力が働いていて、昔から人間はそれを利用してきました。
お子さんと一緒に「手作りコンパス」を試してみると、きっと理科がもっと楽しくなるはずです。
京の算数学 解答#1180
