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京の算数学問題#1120

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算数学コラム
こんにちは。京都市中京区の算数、数学専門塾「アイデア数理塾」の油谷拓哉です。
中学3年生の最後の最後で学ぶ標本調査。
いわゆるデータ分野の最終章に入っていきます。
その中でも「全数調査と標本調査」は、授業でも時間をかけられず、あまり演習もされないまま通過されやすい単元。
しかし実は、
▶ 高校入試(特に記述・資料問題)で突然問われることがある
▶ グラフやデータの読み取りに苦手意識がある子ほどミスをしやすい
という“見落としがちな落とし穴”でもあります。
全数調査とは?標本調査とは?
まずは用語の基本をおさらいしましょう。
● 全数調査(ぜんすうちょうさ)
→ 対象となるすべてのデータを調べる調査方法
例:
- 学年全員(120人)の身長を1人ずつ測る
- 工場で作られたすべての製品を1つずつ検査する
特徴:
- 精度が高い(誤差がない)
- ただし、手間・コストが大きくかかる
● 標本調査(ひょうほんちょうさ)
→ 全体の中から一部(標本)を選んで調べる方法
例:
- 学年120人のうち20人を選んで身長の平均を出す
→ 全体の平均を推定する
特徴:
- 全数より手間が少なく、現実的
- ただし、誤差が生じる可能性がある
なぜこの単元が入試で問われるのか?
理由はシンプルで、社会に出てからも役立つ“情報の扱い方”だからです。
たとえばこんな出題パターンがあります:
💡【入試問題の出題例】
「あるクラスの生徒40人のうち、10人のテスト結果を調査したところ、平均点が72点だった。この結果から、クラス全体の平均点についてどのようなことが言えるか。理由も含めて簡潔に答えなさい。」
✅ ポイント:
- 単に「72点」とは言えない(標本=一部であり、全体の推定)
- 「あくまで一部なので、全体の正確な平均とは限らない」という言い回しが必要
このように「正確な言葉で説明する力」が問われるので、
ただ計算ができるだけではなく内容理解が非常に重要です。
よくあるつまずきポイント
❌「標本調査=全部の平均を出すのと同じ」と思ってしまう
→ 一部しか調べていないのに「これが全体の平均!」と思い込む子が多い
❌ 標本の選び方に偏りがあっても気づかない
→ 例:「テストが得意な子だけを標本に選んでしまう」など
この単元の学び方・対策ポイント
- 意味の違いを明確に言葉で説明できるようにする
→ 定義+メリット・デメリットを「自分の言葉」で整理 - グラフ・資料とセットで出る問題に慣れておく
→ 算数的な計算力よりも「読み取る力」「文章にする力」がカギ - “推測と現実は違う”という感覚を持たせる
→ 標本調査は「近いけど正確ではない」ことを感覚的に理解させる
保護者の方へ|「これ、実生活でも使うんだよ」と伝えてあげてください
標本調査の考え方は、
- アンケート結果を見るとき
- お店の商品レビューを読むとき
- ニュースの「支持率」や「平均所得」の話を聞くとき
など、大人になってからも頻繁に使います。
お子さんがこの単元を学ぶときは、ぜひ日常の話題とリンクさせながら、
「これって数学だけじゃなくて、世の中の見方にも関わることなんだよ」
という声かけをしていただけると、ぐっと理解が深まります。
アイデア数理塾では「取り残されがちな単元」こそ丁寧にフォローします
当塾では、計算問題よりもむしろこういった
「理解があいまいなまま終わりがちな単元」こそ丁寧に扱っています。
全数調査や標本調査に限らず、
- 関数の言葉の意味がつかめない
- 記述問題になると点数がとれない
- グラフの読み取りや説明が苦手
というお悩みに、一人ひとりに合った解説と練習で向き合っています。
ぜひお気軽にご相談ください。
京の算数学 解答#1120
