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京の算数学問題#1107

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算数学コラム
はじめに:「この式って、いつ使うの?」
一次方程式を学んでいると、こんな声をよく耳にします。
「xなんて、将来の生活で使うの?」
「計算できても、意味がなかったら意味ないじゃん」
結論から言うと──
一次方程式は、日常生活の中で使える「思考の道具」です。
このページでは、日常の場面を題材にした一次方程式の文章題を紹介し、解説していきます。
1. 買い物で使う一次方程式
【問題1】
1個120円のお菓子を何個か買い、消費税を含めて合計960円になりました。
お菓子は何個買ったでしょう?
【解き方】
①個数を x とすると
→ 120x=960
③ 解くと
→ x=8
【答え】8個買った
2. 時間の計算に使う一次方程式
【問題2】
家から駅まで、最初は分速80mの速さで歩いていたが、途中で分速100mに速めた。
全体で1.5km(=1500m)を15分で歩いたとき、速さを変えるまでに歩いた時間を求めよ。
【解き方の流れ】
- 速さが変わるまでの時間を x 分とする
- その間に進んだ距離 → 80x
- 残りの時間 → 15−x 分
- 残りの距離 → 100(15−x)
→ 全体の距離の合計
80x+100(15−x)=1500
→ 式を解く
80x+1500−100x=1500
→ −20x+1500=1500
→ −20x=0
→ x=0
【答え】速さを変えるまでの時間は 0分(=最初から速く歩いた)
3. 食事・栄養バランスでも活用!
【問題3】
ジュースAには100mlあたり糖分が6g含まれています。
これに水を加えて、糖分の濃度を4g/100mlにしたいとき、水を何ml加えればよいでしょう?(ジュースは200mlあるとする)
【解き方】
- 最初の糖分 → 200ml×0.06=12g
- 水を x ml加えたら、全体は(200+x)ml
- 濃度が4g/100mlになる条件
→ 12/(200+x)=4/100
→ 両辺に (200+x)をかけて
12=4/100×(200+x)
→ 1200=4(200+x)
→ 1200=800+4x
→ 400=4x
→ x=100
【答え】水を 100ml 加える
4. 割り勘・お金の計算での活用
【問題4】
あるグループで飲食代を4人で割り勘しようとしたが、1人が急に帰ってしまったため、残りの3人で支払うことに。
1人当たりの負担が800円増えました。
元の合計金額はいくらでしょう?
【解き方】
1人分を x円とすると
4人で払う → 4x
3人で払う → (x+800)× 3 = 3x+2400
→ どちらも合計金額は同じ
→4x=3x+2400
→ x=2400
→ 元の合計:4x=9600円
【答え】合計金額は 9600円
5. まとめ:「式で考える力」が人生を助ける
一次方程式は、単なる“学校の計算”ではなく、
- 買い物の計算
- 時間管理の見積もり
- 栄養バランスの調整
- お金の割り勘や収支計算
など、実生活でも問題を解決するために必要になる問題解決能力が鍛えられます。
式が立てられることで情報を整理できる
式を解けることで問題を解決へと導きます。
中1で学ぶこの力こそ、社会で本当に役立つ「論理的思考」の第一歩です。
京の算数学 解答#1107
