褒めすぎると挑戦しなくなる?自己肯定感を育てる「正しい褒め方」とは 京の算数学#1091

京の算数学問題#1091

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算数学コラム

こんにちは!京都市中京区で学習塾「アイデア数理塾」を運営しております、油谷拓哉(ゆたに たくや)です。

子育てにおいて「褒めることは良いこと」とされる風潮は、とても一般的になりました。

たしかに、「できたことを褒める」「頑張ったら認める」という関わり方は、子どもに自信を持たせ、自己肯定感を高める大切な方法です。

しかし、近年の教育現場や指導の現場では、「褒めすぎ」がかえって子どものチャレンジ精神を失わせてしまうというケースも目立つようになってきました。

今回は、「褒めることの落とし穴」について、そして「挑戦することを評価する」視点の大切さについてお話ししていきます。


褒める目的は「自分でできた!」の実感を育てること

まず、褒めることの本来の目的を整理しておきましょう。

それは、子ども自身が「自分でできた!」という実感を持てるようサポートすることです。

つまり、「大人に評価されたいから頑張る」ではなく、「自分で成長している実感がうれしい」という感覚を育てることこそが、褒める意義です。

この感覚が育てば、子どもは自発的に物事に取り組み、やりがいを感じながら成長していきます。

「褒められる=成功体験」で満足すると起きること

一方で、褒める行為が“結果だけ”に偏ってしまうと、子どもは「成功したときしか褒められない」と思うようになります。

すると、失敗するかもしれないことには挑戦せず、「できそうなことだけをやる」ようになってしまうのです。

実際、指導現場でもよく見かけます。

  • 苦手な単元には取り組みたがらない
  • 最初から「できない」と決めつけてやらない
  • 100点が取れなければ落ち込む

こうした背景には、「褒められる=成功」「失敗=ダメなこと」という固定観念が潜んでいます。

チャレンジする勇気を育てるには?

では、どうすれば子どもたちの「挑戦したい」という気持ちを引き出せるのでしょうか。

答えはシンプルです。

結果ではなく「挑戦したこと自体」を褒めること。

つまり、「やってみようとしたこと」「できるかどうか分からないけど取り組んだ姿勢」を評価することが大切です。

たとえ結果がうまくいかなかったとしても、「そのチャレンジが素晴らしい」と伝えれば、子どもは「失敗しても認めてもらえる」と感じ、次の挑戦へとつながっていきます。

「フロー体験」と挑戦の関係

心理学者ミハイ・チクセントミハイは、「人が最も幸福を感じる瞬間」を「フロー体験」として提唱しています。

この状態は、

  • 自分にとってちょっと難しいけれど、がんばればできるかもしれない課題に取り組んでいるとき
  • 周囲を忘れるほど集中しているとき

に訪れます。

つまり、人は“ちょうどいい難しさ”に挑戦しているときに一番ワクワクし、成長も加速するのです。

逆に、簡単すぎる課題や、結果だけが評価される状況では、このフロー体験は得られません。

だからこそ、挑戦そのものに価値を見出す関わり方が、子どもの成長にとってとても大切なのです。

私が現場で意識している「プロセスを褒める指導」

私が塾で生徒たちと接するとき、大切にしていることがあります。

それは、「正解した・しなかった」よりも、「考えようとした姿勢」や「工夫した過程」を認めることです。

例えば、難しい文章題に取り組んでいたとき、

「答えは間違っていたけど、式の立て方は前よりずっと良くなってるね!」
「その考え方、面白いね。惜しいところまで来てたよ」

と声をかけます。

こうした関わりを重ねるうちに、子どもたちは

  • 「やってみよう」
  • 「間違えても大丈夫」
  • 「自分なりに考えるのが楽しい」

という姿勢を身につけていきます。

「失敗が怖くなくなる」=自己肯定感が育つサイン

子どもが何かに失敗したときに、

「まあいいや、また挑戦しよう」
「次はこうしてみようかな」

と考えられるようになってきたら、それは本当の意味での自己肯定感が育っているサインです。

自己肯定感とは、「自分には価値がある」と思える感覚のこと。

それは、成功体験を積むことで高まるのではなく、「たとえうまくいかなくても、挑戦した自分を認められる」状態でこそ、しっかり育っていくものです。

まとめ:褒め方を変えると、子どもが変わる

「褒める=成功のごほうび」ではなく、

「褒める=挑戦へのエール」

と捉え直すことで、子どもの可能性は大きく広がっていきます。

  • 結果だけでなく、努力や工夫のプロセスを見つけて褒める
  • 失敗しても、挑戦した事実をしっかり認める
  • 「次はどうしようか」と未来に目を向ける関わりをする

こうした関わりが、チャレンジする力を育み、最終的には子どもたちの自己肯定感や生きる力へとつながっていきます。

以上、京都市中京区のアイデア数理塾
油谷拓哉(ゆたに たくや)がお届けしました!

「失敗しても大丈夫」そんな学びの場を一緒につくっていきましょう。

京の算数学 解答#1091

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