【中学受験の落とし穴】特殊算で方程式が苦手になる!? 京の算数学#1012

京の算数学問題#1012

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算数学コラム

こんにちは!京都市中京区で学習塾を運営している油谷拓哉(ゆたに たくや)です。

現在は空前の中学受験ブーム。地域によっては私立中学の授業料が無償化されるなど、保護者の選択肢が広がり、コロナ禍を経て中学受験の人気は一段と高まっています。

中学受験の算数では、いわゆる「特殊算」と呼ばれる独特の解法が頻出です。
学校では扱わないこの特殊算は、受験では重要なスキルになりますが、実はこれが中学校以降の数学、特に「方程式」に苦手意識を生む原因となることがあります。

今回はその理由をお話ししていきます。

■ 和差算で比較してみる

例題:「Aくんのクラスは30人。男子は女子より6人多い。男子と女子の人数は?」

【特殊算の解法】

・男子=女子+6人
・全体=30人なので、(30+6)÷2=18人(男子)
・女子=30−18=12人

【方程式の解法】

・男子をx人とすると、女子は(30−x)人
・方程式:30−x=x−6
・解くとx=18 → 女子は12人

【連立方程式の解法】

・男子をx、女子をyとすると  x+y=30 、x−y=6
・連立するとx=18、y=12

このように、異なる手法でも同じ答えが導けますが、中学以降では「方程式を使って解きなさい」といった“解法指定”があるケースが多くなります。

■ なぜ特殊算で方程式が苦手になるのか?

中学受験では、とにかく「解ければ良い」という風潮が強く、特殊算はテクニックとして身につけられます。
そのため、解法の意味や背景を理解しないまま身につけてしまうのです。

ところが中学では、解法のプロセスも重視され、「なぜそのように解いたか」が問われます。
特殊算で答えが出ても、方程式の使用が求められる場面では減点対象になることも。

確かに方程式や連立方程式の解放自体は特殊残の計算方法を文字に置いただけですので本質は変わりません。
ただ、中学数学になった途端つまづく原因は「ただ解ければいい」という考え方が大きな影響を及ぼします。

■ 特殊算の理解は抽象的で難しい

小学生の脳はまだ発達段階にあり、抽象的な思考を要する特殊算の理解には限界があります。
パターンとして覚えることはできても、なぜその解き方になるのかを理解するのは難しい事があります。

ですので、私は中学に進学した生徒には「特殊算は一度手放そう」と伝えています。
もちろん特殊算にも理論的な価値はありますが、あえて極端な言い方をすることで、新たな学習に目を向けてもらいやすくなります。

■ 今は“納得”より“道筋”を示す時期

理解を深めるのはこれから。
中学生以降で論理的思考力が発達してくると、特殊算も「そういうことだったのか」と腹落ちすることが増えます。

そのときに備え、今は「こうした方が良いよ」と道筋を示すことが大切です。
正しいステップで学びを積み上げていけば、どんな問題にも柔軟に対応できる力がついていきます。

以上、京都市中京区のアイデア数理塾・油谷拓哉がお届けしました!

算数好き、あつまれ!

京の算数学 解答#1012

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