数学コラムの目次
京の算数学問題#1270

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算数学コラム
小学校の算数を見ていて、
こんな疑問を持ったことはありませんか?
「足し算・引き算はすぐ習うのに、
割り算ってだいぶ後ですよね?」「かけ算の次に、すぐ割り算じゃダメなの?」
実はこの「順番」、
なんとなく決められているわけではありません。
算数は、
“できるだけ子どもがつまずかないように”
かなり慎重に順番が作られている教科なんです。
今日は、
なぜ割り算が後回しになるのか、
その理由をお話しします。
① 割り算は、実はとても「情報量が多い」計算
まず大前提として知っておいてほしいことがあります。
割り算は、足し算・引き算・かけ算より一気に考えることが多い計算
たとえば
● 12 ÷ 3
この中には、実はこんな意味が詰まっています。
- 「12を3つに分ける」
- 「1つあたりはいくつ?」
- 「かけ算で言うと何×3=12?」
割り算は分ける・比べる・逆算する
という考えが同時に必要になります。
これは初めて割り算を学ぶ、子どもにとっては結構ハードです。
② 割り算は「かけ算の理解」が前提
割り算は、
かけ算をひっくり返した考え方です。
だから、
かけ算があいまいなまま割り算に進むと
- 何をしているのか分からない
- ただの暗記になる
- 文章題で完全に止まる
という状態になりやすいです。
実際、塾でも
「割り算が苦手な子」はほぼ全員、
かけ算が“意味ごと”理解できていない
という共通点があります。
だから順番は下記のようになります。
- 足し算・引き算(量の増減)
- かけ算(同じ量のくり返し)
- 割り算(分ける・1あたりを考える)
これは、思考の負担が少ない順でもあるんです。
③ 割り算は「文章題」が一気に難しくなる
割り算が出てきた瞬間、
算数の文章題はレベルが上がります。
- 12個のあめを3人で分ける
- 12mのリボンを3mずつ切る
- 12個を1人3個ずつ配ると何人分?
同じ 12 ÷ 3 でも、意味がまったく違いますよね。
割り算には2種類ある
ここが一番のつまずきポイントです。
等分除(とうぶんじょ)
→ 何人で分けるかが決まっている
(12個を3人で分ける)
包含除(ほうがんじょ)
→ 1つあたりの量が決まっている
(12個を1人3個ずつ配る)
これを理解するには、
数の感覚・言葉の理解・図で考える力
すべてが必要。
だからこそ、割り算は「準備が整ってから」出てくるんです。
④ もし割り算を早く教えたらどうなる?
もし、足し算のすぐ後に
割り算を教えたとしたら…
- 「とにかく割る」だけになる
- なぜ割るのか分からない
- 文章題が読めない
- 中学の割合・比で崩れる
実際に、
割り算を“作業”として覚えてしまった子は、後々かなり苦労します。
算数は、あとから戻るほど、修正が大変な教科。
だから、
ゆっくり・順番に・意味を積み上げる必要があるんです。
⑤算数の順番は「つまずきを減らす設計図」
算数のカリキュラムは、
- できるだけ多くの子が
- 無理なく理解できるように
- 後の学年につながるように
かなり緻密に作られています。
割り算が後回しなのは、
子どもを困らせるためではなく、
「割り算を、本当に理解できる状態で出すため」
なんです。
最後に
割り算でつまずく子を見ると、
「理解が遅いのかな?」と
不安になる保護者の方も多いですが、
ほとんどの場合は違います。
- 準備がまだ整っていない
- かけ算の意味があいまい
- 分けるイメージが足りない
算数は、順番どおりに積み上げると、ちゃんと分かる教科です。
焦らず、
「今はここを育てる時期なんだな」と見てあげてください。
京都市中京区・アイデア数理塾では
割り算につまずく子に対して、
- かけ算の意味からの整理
- 図を使った分け方の理解
- 等分除・包含除の見分け
- 文章題の読み方
- 「なぜ割るのか」を説明できる指導
を大切にしています。
割り算は、理解できた瞬間に一気に楽しくなります。
京の算数学 解答#1270




