京の算数学問題#1205

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算数学コラム
こんにちは。
京都市中京区のアイデア数理塾、油谷拓哉(ゆたに たくや)です。
小学生の保護者の方から、よくこんな相談を受けます。
「まだ指で数えているんです。大丈夫でしょうか?」
「もう指を使わずに計算できるようにした方がいいですか?」
結論から言うと、指で計算するのは悪いことではありません。
むしろ、ある時期までは「脳の発達に沿った自然なステップ」です。
ただし、いつまでも指に頼ってしまうと、「数のイメージ」が育たず、
高学年になってから計算ミスが増えたり、文章題でつまずいたりすることもあります。
今回は、「指で計算するのはいつまでOKなのか?」をテーマに、
学年別の目安と、家庭でできるステップアップの方法をお伝えします。
① 指で数えるのは「数を理解する練習」
まず知ってほしいのは、指を使うことは悪ではなく、“理解の証拠”だということ。
小学校1年生の初期段階では、「数える」という行為を通して、
「数の順番」「数の大きさ」「数と量の対応関係」を体で覚えていきます。
たとえば、
- 「3+2=5」を“3本の指と2本の指を合わせる”ことで実感する
- 「4−2=2」を“4本の指から2本を折る”ことで確認する
このように、指は「見えない数」を“見える化”するツールなのです。
この段階では、指を使うことで「数ってこういうものなんだ」と理解を深めているので、焦ってやめさせる必要はありません。
② 指計算が“卒業”になる目安
では、いつまでに指を使わなくなるのが理想なのでしょうか?
一般的な目安は以下を参照してください。
ただしお子さんの成長には段階があります。
基準を示したのは早い遅いを判断するのではなく、あくまで指離れをする段階があるという事を理解していただきたいからです。
つまり、指計算から離れるには段階に応じたトレーニングが必要になってくるという意味です。
学年 | 指の使い方の目安 | 目標となる力 |
---|---|---|
小1 | OK!数の理解のために必要 | 「数える」から「数をまとめる」へ |
小2 | 少しずつ減らしていく | 「10のまとまり」や「くり上がり・くり下がり」を理解 |
小3 | 基本的に頭の中で計算 | 「暗算」や「数の分解・結合」が自然にできる |
小4以降 | 指に頼らない計算力 | 計算過程を“イメージ”で整理できる |
③ 指に頼り続けてしまう子の特徴
小3になっても指計算が抜けない場合、
次のような背景があることが多いです。
- 数のまとまり(10・5など)がイメージできていない
→ 例:「7+5」で10を超える感覚が曖昧。 - くり上がり・くり下がりの構造を理解していない
→ 「9+3」などで、一度10にして残りを足す考え方ができない。 - 計算を「丸暗記」で覚えている
→ “やり方”は知っているが、“意味”が理解できていない。
この場合、「指をやめさせる」よりも、ブロックやコインなどを使って、数のイメージを作り直すことが先です。
④ 「指計算」からの卒業をサポートする3ステップ
家庭でできる“自然なステップアップ”の方法を紹介します。
STEP1:ブロック・おはじき・おかねを使う
指の代わりに、見える具体物で「数のまとまり」を体感します。
数の概念では数字上同じ10でも、10番目と10Lでは視覚的な情報に大きな差が生まれます。
10個を1組にする遊び(例:お菓子を10個ずつ袋に分ける)などが効果的です。
STEP2:10のまとまりで考える
「7+6」は「7+3+3=10+3=13」と、
10を作って残りを足す考え方を練習します。
「10になるペア(1と9、2と8…)」をゲーム感覚で覚えるのもおすすめです。
STEP3:数直線や図でイメージ化する
頭の中で数を動かせるように、数直線を使ってジャンプしてみましょう。
「5から7へ2ジャンプ」「12から9へ3戻る」といった動きを、線と矢印で視覚化します。
これを繰り返すと、自然に指を使わなくても「頭の中で動かす」練習になります。
⑤ 指を使う子を“叱らないで”ほしい理由
保護者の方が焦ってしまうのは、「もう3年生なのに…」という不安から。
でも、指を使っているのは「考えていない」からではなく、
むしろ一生懸命“理解しようとしている”証拠です。
大切なのは、
「指を使う=ダメ」ではなく、
「なぜ指を使っているのか」を見てあげること。
たとえば、
- 指を使えば正解できる → OK(理解が進行中)
- 指を使っても間違える → イメージがあいまい
後者の場合は、数の構造を立体的に理解できるよう、
ブロックや絵、図を使ってサポートしてあげましょう。
⑥ アイデア数理塾の考え方
アイデア数理塾では、「計算力」を“速さ”ではなく“意味理解”で育てています。
低学年の計算が苦手な子どもたちには、指・ブロック・図などを使って、
数のまとまり・構造・イメージを丁寧に作る指導を行っています。
特に「10をつくる」思考を定着させると、
その後の繰り上がり・繰り下がり・筆算がスムーズになり、
結果的に計算スピードも自然と上がります。
指を使うのは「通過点」であり、「考える練習」。
焦らず、着実に“考える力”へとつなげていくことが大切です。
まとめ:「指計算」はやめさせるものではなく、“卒業する”もの
指で計算することは、理解の途中段階であり、悪いことではありません。
ただし、
- 小2までに「10のまとまり」を意識できるようにし、
- 小3までに「頭の中でイメージできる」ようにする
このステップを踏むことで、自然と指を使わなくても計算できるようになります。
焦らず、比べず、
「今どんな考え方をしているのか」を見守ることが、
子どもの“思考力の芽”を育てる一番のサポートです。
京の算数学 解答#1205
