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京の算数学問題#1167

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算数学コラム
こんにちは。京都市中京区で算数・数学専門の「アイデア数理塾」を運営しております、油谷拓哉(ゆたに たくや)です。
小学2年生になると、計算は一気にステップアップします。1年生では「10までのたし算・ひき算」が中心でしたが、2年生になると「くり上がり」「くり下がり」を含む筆算へと進みます。
実は、この「繰り上がり・繰り下がりの計算」でつまずく子どもがとても多いのです。算数が苦手になる最初の大きな壁といえるでしょう。今回は、小学2年生での計算のつまずきポイントと、家庭でできるサポート方法を詳しくお伝えします。
なぜ「繰り上がり・繰り下がり」でつまずくのか?
1. 位の理解が不十分
「10のまとまり」が理解できていないと、繰り上がり・繰り下がりは難しくなります。
たとえば「7+5」をするときに「7と5をそのまま合わせて…あれ?」となる子は、10を作る感覚が弱い証拠です。
2. 計算の手順を暗記してしまう
「1を繰り上げて…」という手順だけを丸暗記していると、なぜそうなるのかが分からず混乱してしまいます。
筆算の「形」はできても、意味が理解できていないケースです。
3. 数のイメージ不足
具体物(ブロックやおはじき)を使わずに、いきなり筆算に進むと「数字だけが動く」感覚になり、理解が追いつかなくなります。
具体的な例題とつまずき方
例題1:23+19
正しい流れは
- 3+9=12 → 1繰り上げ
- 繰り上げた1を十の位に足して、2+1+1=4
- 答え:42
しかし、よくあるつまずきは「3+9=12、だから2」と書いてしまうケースです。十の位に「1」を足す感覚が抜け落ちているのです。
例題2:42-18
正しい流れは
- 2-8ができないので十の位から借りてくる
- 12-8=4
- 残った十の位は3(4から1借りたので)
- 答え:24
ここで多いミスは「2-8=6」と書いてしまうパターン。引けない数を無理やり引いてしまうのです。
家庭でできるサポート方法
1. 「10のまとまり」を徹底する
ブロックやおはじきを使って、10を作る練習を繰り返すのがおすすめです。
「7と3で10ができるね」「8に2を足すと10になるよ」と、10を基準にした感覚を育てましょう。
2. 符号を書かせる
繰り上げた「1」や借りてきた「1」を、子どもに実際に数字で書かせると混乱が減ります。
「頭で覚える」より「紙に残す」方が安心でき、計算ミスも防げます。
3. 暗算ではなく筆算を定着させる
2年生のうちは暗算にこだわらず、丁寧に筆算で解く習慣をつけましょう。スピードよりも「意味を理解しているか」を大切にしてください。
4. 計算の意味を言葉にさせる
「3+9をしたら12で、10が1つできたから繰り上げるんだよ」
「ここは引けないから、十の位から10を借りてきたんだよ」
と、子どもに説明させてみると理解度がわかります。
こんなサインが出たら要注意!
- 筆算になると計算ミスが急増する
- 暗算ではできるのに、筆算にすると間違える
- 「くり上げ」「くり下げ」を飛ばしてしまう
- 計算そのものを嫌がる
これらのサインが見えたら、「くり上がり・くり下がりの理解」がまだ十分でない可能性があります。
まとめ
小学2年生の「繰り上がり・繰り下がりの計算」は、算数における最初の大きな壁です。ここでつまずくと、3年生以降の筆算や文章題にも影響してしまいます。
大切なのは「手順を丸暗記させないこと」と「数のイメージをしっかり持たせること」です。家庭ではブロックやおはじきを使って「10のまとまり」を体感させ、筆算の意味を丁寧に説明してあげてください。
お子さんの理解度に合わせたサポートをすることで、算数の苦手を防ぎ、自信を持って学びを進められるようになります。
京の算数学 解答#1167
