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京の算数学問題#1109

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算数学コラム
「プラスとマイナスがつくだけでしょ?」
そう思われがちな「正負の数」ですが、実は数学の奥深さと面白さがギュッと詰まった単元です。
中学に入って最初に学ぶ内容だからこそ、しっかり理解することが、これからの数学を楽しむカギになります。
この記事では、正負の数がどう面白いのかを3つの視点から紹介し、
「単なる符号の勉強」で終わらせない学び方を提案します。
1. 数の裏にある「言葉の変換」が面白い!
正負の数の面白さの1つは、「言葉を数で表せるようになる」こと。
たとえば、「南へ3m進む」ことを、ある地点から見て「−3m」と表すように、方向や動作を数で言い換えることができるようになります。
▶︎ 練習問題:逆に言い換えてみよう
【】の中を「正」としたとき、逆の表現を考えてみましょう。
問題 | 逆の表現 |
南へ3m歩く【北】 | 北へ−3m歩く |
−300円支出した【収入】 | +300円収入があった |
鉄球を3個購入した【売った】 | 鉄球を−3個売った |
体重が−4kg軽くなった【重く】 | +4kg重くなった |
前へ15歩歩いた【後】 | 後ろへ−15歩歩いた |
このように、正負の数を使えば「逆のこと」も数学的にスッと表現できるのです。
▶︎ ポイント:プラス・マイナスは“決まり”ではなく“仮定”
「右がプラス」「左がマイナス」というのは、あくまでこちら側で決めた仮定。
正負の数の世界では、「何を正とするか」を決めることで、全体のルールが作られていきます。
つまり、数学では「ルールを自分たちで決めていい」という柔軟性があるのです。
これが、数学の創造的な面白さでもあります。
2. 自然数と負の数の“リアルとイメージ”の違いが面白い!
中学校では「自然数=1、2、3、…」と学びます。
これらは現実の世界でも使える“数えられる数”です。
一方、負の数(−1、−2など)は、目に見える形では存在しません。
たとえば「−1個のリンゴ」は存在しませんよね?
それでも、借金・損失・温度の変化など、現実に起こる「変化」や「差」を表すときに、負の数が活躍します。
▶︎ マイナスの発見は“非常識”だった
歴史的に見ると、マイナスの数が使われ始めたとき、「あり得ない数だ」と多くの人が否定しました。
それでも数学は、「実際に存在しないもの」すら扱える道具へと進化してきたのです。
このように、正負の数には“見えない世界”を考える力が宿っています。
3. 数の概念が一気に広がる
小学校では「0」から右方向の数しか扱いませんでした。
しかし中学校で負の数を学ぶと、「0」は単なる始まりではなく、正と負の“境界線”=原点としての意味を持ちます。
この「数直線の全体像」が見えることで、数の世界が左右両方向に広がる感覚を味わえるのです。
▶︎ 「0」はただの数字じゃない
0は、プラスでもマイナスでもない中立の存在。
足しても引いても結果を左右しない「バランスの象徴」でもあります。
「0って何もない」と思われがちですが、実は数学において極めて特別な数です。
正負の数は、数の世界への入り口
計算が中心になりがちな単元ですが、実は正負の数には以下のような本質的な面白さが詰まっています。
- 数で言葉を言い換える感覚
- 現実と数学の違いを知る力
- 「数は人間が決められる」という自由さ
- 0やマイナスの奥深い意味
こうした考え方が身につくと、
中学数学は「ただの計算」ではなく、「世界の見え方が変わる学問」になります。
以上、京都市中京区のアイデア数理塾・油谷拓哉がお届けしました!
中1で最初に出会うこの単元こそ、数学を好きになるきっかけに。
正負の数から「考える数学」を始めてみましょう。
京の算数学 解答#1109
