数学コラムの目次
京の算数学問題#1108

アイデア数理塾はこちら
算数学コラム
こんにちは!京都市中京区でアイデア数理塾を運営しております、油谷拓哉(ゆたに たくや)です。
「高校物理で摩擦係数ってテストに出るけど、何がどう関係してるの?」
「公式は覚えたけど、意味がピンとこない…」
そんな声をよく聞きます。
でも実は、摩擦係数=“どれくらい滑りにくいか”を表す数字です。
一度イメージできれば、問題もスッキリ解けるようになります。
今回は、摩擦の基本から、公式の使い方、そして実践問題まで、ていねいに解説していきます!
1. そもそも「摩擦」って何?
摩擦とは、物体を動かそうとしたときに、逆向きに働く力のこと。
たとえば机の上にあるティッシュ箱を押してみると、最初は動きにくく、ちょっとだけ滑って止まりますよね?
これは「押す力」に対して、「逆らう摩擦の力」が働いているからです。
スライディングで足が熱くなるのも、摩擦の力が大きく関係しています。
2. 摩擦には3種類ある!
摩擦の種類を知っておくと、問題が読みやすくなります。
種類 | 状態 | 説明 |
静止摩擦力 | 止まっているとき | 動き出すのを妨げる力 |
最大静止摩擦力 | 動き始める直前 | 最も大きな静止摩擦 |
動摩擦力 | 動いているとき | 滑っているときに働く力 |
3. 摩擦係数ってなに?
摩擦係数とは、「どれくらい滑りにくいか(摩擦が大きいか)」を表す値です。
数値が大きいほど滑りにくく、小さいと滑りやすいということになります。
摩擦係数には次の2つがあります:
- 静止摩擦係数:止まっているときの摩擦
- 動摩擦係数:動いているときの摩擦
4. 公式で覚えよう:F = μ×N
摩擦力を求める基本公式はこちらです。
F = μ × N
- F:摩擦力(N)
- μ(ミュー):摩擦係数(単位なし)
- N:垂直抗力(物体が地面から受ける力)
物体が止まっているなら「静止摩擦係数」を、動いているなら「動摩擦係数」を使います。
5. 摩擦係数の求め方
逆に、摩擦係数を求めたい場合は、公式を変形します。
μ = F ÷ N
ここで注意したいのは、摩擦係数には単位がないという点。
これは力と力の比だからですね。
6. 実践問題で確認しよう!
〈問題〉
質量5.0kgの金属ブロックが床に置いてあります。
重力加速度は9.8m/s²とし、右向きに5Nの力を加えてもブロックは動きませんでした。
このときの静止摩擦力と、動かすのに必要な最小の力を求めましょう。
(静止摩擦係数 μ = 0.70)
〈解答〉
① 垂直抗力 N を求める
N = mg = 5.0 × 9.8 = 49N
② 静止摩擦力
動いていない → 摩擦力は外からの力と同じ:5N
③ 最大静止摩擦力(動く直前)
F₀ = μ × N = 0.70 × 49 = 34.3N
〈答え〉
- 今の摩擦力:5N
- 動かすには:34.3N以上の力が必要!
7. まとめ:摩擦係数を知ると「物体の動き」がわかる!
摩擦係数は、物体が「止まる」「動く」を左右する重要な値です。
- 動かしたいのに動かない! → 静止摩擦力が勝っている
- 力を加えたら動き始めた! → 最大静止摩擦力を超えた瞬間
- 滑りやすい素材 or 滑りにくい素材? → 摩擦係数で判断できる
公式に当てはめるだけで、物理のしくみが一気に見えるようになります。
以上、京都市中京区のアイデア数理塾・油谷拓哉がお届けしました!
摩擦を制する者は、物理を制す!?
「意味がわかる」と「解ける」がつながったとき、物理はどんどん楽しくなりますよ!
京の算数学 解答#1108
