京の算数学問題#909
アイデア数理塾はこちら
算数学コラム
みなさんこんにちは!京都市中京区で学習塾「アイデア数理塾」を運営しております、油谷拓哉(ゆたに たくや)です!
「今の子ども達は本当に頭がいい」と、学校の先生や教育関係者の方々からよく聞くフレーズです。私自身も日々の指導を通じて、処理能力の高い生徒が増えていると感じています。特に暗算を得意とする子どもたちの成長には驚かされることが多いです。
しかし、その一方で暗算に頼りすぎて計算ミスが増え、結果として成績を落としてしまうケースも見られます。今回は、暗算という算数のツールのメリットと注意点、そして途中式を書く習慣の重要性についてお話しします。
暗算が鍛える「ワーキングメモリ」とは?
まず、暗算の大きなメリットについてお話ししましょう。
暗算を行うことで鍛えられるのが「ワーキングメモリ」と呼ばれる能力です。
ワーキングメモリとは、作業に必要な情報を一時的に保存し、処理する能力のことを指します。
例えば、買い物で「リンゴが3つ、1つ120円」と言われた時に、頭の中で120×3を計算する能力がこれにあたります。
このワーキングメモリが強化されると、計算力だけでなく、文章の読解力や論理的思考力など、学習の基礎力が向上します。
暗算はワーキングメモリを鍛える非常に良いトレーニングであり、お子さんにぜひ取り組んでいただきたいスキルの一つです。
暗算が計算ミスを増やす原因とは?
暗算が役立つ場面が多い一方で、注意すべき点もあります。
それは、複雑な計算や長い計算式に挑む場合です。
今の子ども達はICT(情報通信技術)の発達により、スマートフォンやタブレットを使う機会が多くなっています。
その結果、紙に書いて視線を動かしながら全体を把握する力が弱くなり、暗算だけに頼ると途中で計算が混乱してしまうことがあります。
例えば、「12×23」を暗算で解く場合、以下のような計算手順を頭の中で処理しなければなりません。
- 10×20
- 10×3
- 2×20
- 2×3
このように複数のステップを記憶しながら処理するのは、特に暗算が得意ではない子どもにとって負担が大きく、計算ミスの原因になります。
暗算と途中式を書く習慣を両立させる
暗算だけに頼るのではなく、途中式を書く習慣を取り入れることで、計算ミスを大きく減らすことができます。途中式を書くことには以下のメリットがあります:
- 計算手順が明確になる
途中式を書くことで、計算の流れを整理することができ、どこで間違えたのかを後から確認しやすくなります。 - 理解度が深まる
丁寧に途中式を書くことで、問題を解くプロセスを意識でき、より深く理解できるようになります。 - テスト対策に役立つ
特に中学生や高校生の場合、途中式が採点基準に含まれることも多いです。普段から途中式を書く習慣をつけておくことで、テストでも得点に結びつきます。
暗算と途中式を使い分ける具体的な方法
では、実際に暗算と途中式をバランスよく使い分けるにはどうすればいいのでしょうか?以下に具体的な方法をいくつかご紹介します。
1. 暗算トレーニングを短時間で行う
暗算力を鍛えるためには、短時間で集中して行うトレーニングがおすすめです。例えば、「5分間でできるだけ多くの計算問題を解く」といった取り組みを毎日続けることで、ワーキングメモリを鍛えることができます。
2. 難しい問題は途中式を書く
暗算が得意なお子さんでも、複雑な問題や見慣れない問題に直面した場合は、途中式を書くよう指導しましょう。「頭の中でできるけど、あえて書く」という意識が大切です。
3. ルールを決めてみる
「2桁以上の計算は必ず途中式を書く」など、簡単なルールを設けると効果的です。こうしたルールを守ることで、暗算と途中式のバランスが自然と身につきます。
親子で実践してみよう!
お子さんが暗算派であっても途中式派であっても、大切なのは両方の良さを理解し、状況に応じて使い分けることです。
たとえば、親子で次のような実践をしてみてはいかがでしょうか?
- 「今日は5分間の暗算大会をしよう!」
- 「次は途中式を書く練習をしてみよう!」
こうした取り組みを楽しみながら行うことで、お子さんの計算力と勉強への意欲を同時に育むことができます。
まとめ
暗算はワーキングメモリを鍛える素晴らしいツールですが、途中式を書く習慣を併用することで、さらに学力を高めることができます。
特に計算ミスが多いお子さんには、「途中式を書く」ことを意識するだけで、ミスの大幅な減少が期待できます。
お子さんは暗算派ですか?それとも途中式派でしょうか?どちらの良さも活かしながら、算数や数学をもっと楽しめる環境を作ってみましょう!
以上、京都市中京区のアイデア数理塾 油谷拓哉(ゆたに たくや)がお届けしました!