数学が社会を変える!対数が人命を救った驚きのストーリー 京の算数学#828

京の算数学問題#828

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算数学コラム

みなさんこんにちは!京都市中京区で塾を運営しております。油谷拓哉(ゆたに たくや)です!

私たちは小学校から高校まで、当たり前のように勉強をしてきました。しかし、その目的は受験に合格するための勉強であることが多いです。実際に、学校では近年、SDGsや企業との連携を通じた新しい学びの取り組みが進んでいますが、それでも「受験」というシステムがある以上、こうした実践的な学びはどうしても優先順位が低くなりがちです。

社会人になって気づく「生きるための学び」

この「受験重視」の教育の中で、どこに差が生まれるかというと、実は社会人になってからです。私自身、独立して法人を経営する立場になり、さまざまな人々と出会い、商談を重ねていく中で、「生きるための学び」の重要性を強く感じるようになりました。

学生時代にやらされる勉強をしてきた人と、広い視野を持って実際の生活や仕事に役立つ学びを身につけてきた人とでは、大きな差が出るのです。

受験が持つ役割と学歴の価値

とはいえ、現状ではこの「生きるための学び」を民間教育に導入するのは非常に難しいのが現実です。なぜなら、受験というシステムがあるからです。受験は、生徒たちの学力を測るだけでなく、社会における一種の指標としても機能しています。学歴というものが、その人が教育に費やした時間や労力を証明するものとなり、社会的な価値を高めるという側面もあります。

今のシステムを否定する気はありません。受験というシステム自体があったからこそ今の社会が築かれたといっても過言ではないからです。

ただ、それと同時に私たちはもっと広い視野で「生きるための学び」に目を向けるべき時代に来ているのだと思います。

数学を物語で学ぶ「アイデア数理塾」

私が運営する学習塾「アイデア数理塾」では、数学を単なる受験や成績アップのための教科として教えるのではなく、数学を「ストーリー」で教えることを重視しています。数学が生まれた背景や、定理が発見された時代の文化、社会情勢、そしてその発見がどのように人々の生活を変えたのか。これらを知ることで、単なる公式暗記ではなく、数学そのものをより深く理解できるようになるのです。

たとえば、数学の定理をただ記号や公式として学ぶのではなく、その背後にある物語や歴史的背景を知ることで、よりイメージが膨らみます。こうして身につけた知識は、日常生活にも役立ち、将来にわたって大きなプラスとなるのです。

数学が命を救った?驚きの歴史

ここで、実際に数学が人々の生活を変え、さらには命を救った驚きの歴史を紹介します。

それは「対数」という数学の概念にまつわるストーリーです。

対数の発明者ジョン・ネイピア

高校数学Ⅱで学ぶ「対数(log)」という概念。これは、1614年にジョン・ネイピアというスコットランドの数学者によって発明されました。対数の誕生は、単に数学の発展に寄与しただけでなく、多くの人命を救ったという重要な役割を果たしていたのです。

当時のヨーロッパは、大航海時代と呼ばれる時代で、多くの船が世界各地を目指して航海に出ていました。しかし、技術や知識がまだ発展途上であったため、遭難や沈没といった海難事故が頻発していました。

広大な海を航行するには、現在地を正確に把握し、目的地までのルートを計算する必要がありますが、海上には目印がなく、また地球は球体であるため、平面上の計算とは異なる「球面三角法」という高度な数学を用いる必要がありました。

複雑な計算を対数が解決

ジョン・ネイピアは、この複雑な三角法を簡略化するために20年以上の歳月をかけて「対数表」を開発しました。

対数の概念は、簡単に言えば「数字そのものではなく、何回かけ合わせたかに注目する」というものです。

たとえば、「1000」と「1342531900」という2つの数字を比較するとき、桁数で比較すれば一目でどちらが大きいかがわかります。対数はこの「桁数」に注目する考え方です。つまり、数字そのものの大きさではなく、ある数を何回かけた結果としての数に注目するのです。

ネイピアの対数表を使うことで、従来は手作業で10桁以上の精度が必要だった複雑な計算が、はるかに短い時間で行えるようになりました。これにより、航海士たちは計算の時間を短縮でき、結果として多くの船が無事に目的地にたどり着けるようになり、多くの命が救われたのです。

この発明は、まさに「奇跡」と言われ、ネイピア自身も「対数は神から与えられた言葉」と讃えました。対数の発明がなければ、大航海時代の多くの航海が失敗に終わり、世界史は今とは異なるものになっていたかもしれません。

日常にも生きる数学の知識

このように、対数の発明が歴史を動かし、命を救ったという事実は、数学が単なる「勉強のための教科」ではなく、実際の生活や社会に大きな影響を与える力を持っていることを教えてくれます。

私たちも日常生活の中で、数学の知識を活用する場面が少なくありません。特に「問題解決力」や「論理的思考力」といったスキルは、仕事や生活のあらゆる場面で役立ちます。

このように、数学を物語として学び、その背後にある背景や社会的な影響を知ることで、学びがより深く、そして実生活にも役立つものとなるのです。

以上!京都市中京区のアイデア数理塾 油谷拓哉(ゆたに たくや)がお届けいたしました!

算数好きあつまれ〜!

京の算数学 解答#828

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