京の算数学問題#953
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算数学コラム
みなさんこんにちは!京都市中京区で学習塾を運営しております、油谷拓哉(ゆたに たくや)です!
実は私、それなりに長く野球をやっておりまして、大学時代から本格的に投手に転向し、社会人でも続けています。
ピッチャーマウンドから打者を見ると、近くもなく遠くもなく、絶妙な距離だなーと毎回思うのですが、ふと「なんで18.44mなんだろう?」と思ったので調べてみました。
今日はそんなお話しです。
元々は下手投げのみのルールだった!?
今ではオーバースローやサイドスローが主流で、アンダースローは希少種となっていますが、かつてのベースボールはアンダースローのみがルールでした。
さらに、バッターは投手へ「この高さ・コースに投げてほしい」と指定することができたのです!
このため、当時のマウンドからの距離は現在の18.44mではなく、45フィート(約13.716m)でした。
しかし、1872年に「スナップスロー(手首を使って鋭く投げる)」が可能となり、1881年には投手と打者の距離が45フィートから50フィート(約15m)へと変更されました。
その後、
- 1882年:サイドスロー解禁
- 1884年:オーバースロー解禁
- 1887年:打者が投球のコースを指定するルール廃止
と、投球の自由度が広がっていきました。
ところが、50フィート(約15m)の距離ではあまりにも投手が有利になり、デッドボールを受けた選手が命を落とすという悲劇も発生してしまいます。
これをきっかけに、1893年に投手と打者の距離を60フィート(約18.29m)へ変更することが決まりました。
きっかけは「記録係の勘違い」だった!?
実は、現在の18.44m(60フィート6インチ)は、本来のルール変更の意図とは少し違う理由で決まったという説があります。
当時の記録係が「60フィート(約18.29m)」を誤って「60フィート6インチ(18.44m)」と記録してしまったことで、現在の距離になったというのです。
しかし、結果としてこの距離が野球のゲームバランスを絶妙に保つことになり、現在まで採用され続けています。
歴史的なルール変更の裏には、こうした偶然の要素もあるんですね!
世界最速のピッチャーは?
では、この18.44mの距離で投げられるボールの最速記録はどれくらいでしょうか?
- 世界最速:アロルディス・チャップマン投手(元キューバ代表)
- 177km/h(メジャーリーグ公式記録)
- 日本最速:佐々木朗希投手(千葉ロッテマリーンズ)、大谷翔平投手(ロサンゼルス・ドジャース)
- 165km/h
この速度で投げられると、バッターはわずか0.4秒ほどでボールを見極め、打つかどうか判断しなければなりません。
算数的な視点で考えると、
- 反応時間:0.2秒(目で見て脳が判断するまで)
- スイングにかかる時間:0.2秒
つまり、ボールが来てから打つまでにかけられる猶予はほぼゼロ!
これほどの高速の世界でバッターは勝負しているのです。
まとめ
- 元々はアンダースロー限定&投手と打者の距離は短かった
- 投球方法の進化と事故をきっかけに18.44mへ変更
- 記録係の勘違いがきっかけで現在の距離が確定
- 最速記録は177km/h!日本最速は165km/h!
勘違いから決まった18.44mという数字が、科学的な計算ではなく「偶然」によって野球のバランスを保ち続けているというのは、なんとも面白いですね。
以上!京都市中京区のアイデア数理塾、油谷拓哉(ゆたに たくや)がお届けしました!
算数好きあつまれ〜!
京の算数学 解答#953
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